カタールW杯でブレイク期待のブラジル代表ヴィニシウス。風間八宏が「劇的に成長している」と見る一番の理由はなにか (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

レベルの高い環境で成長できる選手

 サッカーの世界では18歳から21歳の4年間がその後のキャリアを決めるとされるが、ヴィニシウスはレアル・マドリードで過ごした最初の4年間で、しっかりと成長の跡を残すことに成功。いわゆるワールドクラスの選手になるための資格を手に入れた。

 なかなかワールドクラスの選手が現れない日本からすると羨ましいサクセスストーリーだが、果たして、どうすればヴィニシウスのような成長を遂げられるのか。

「ヴィニシウスに限った話ではありませんが、彼らは教えてもらって成長しているわけではない、というのがポイントだと思います。

 わかりやすく言えば、速いサッカーのなかに入ってしまえば、自然とその速さのなかでプレーできるように成長するということ。もちろん、周りの選手から技を盗んだり、自分なりに切磋琢磨して技術を磨いたりしますが、誰かに教えてもらうわけではなく、そういう環境に身を置いてずっとプレーしてきたので、成長する力も自然と身についている。

 まだ教えてもらわないとなかなか成長できない日本人の選手とは、そこが違いなのかもしれませんね」

 カタールW杯でも、そんな成長力によって世界の第一線で活躍するようになったワールドクラスたちが数多くプレーする。日本代表の行方も気になるところだが、世界の一流選手たちのプレーぶりにも、ぜひ注目したい。

ヴィニシウス・ジュニオール 
Vinicius Junior/2000年7月12日生まれ。ブラジル・リオデジャネイロ州サンゴンサロ出身。10歳の時に名門フラメンゴの育成組織に入団。常に年齢より上のカテゴリーで活躍し有名になり、16歳の時にトップチームとプロ契約。直後、レアル・マドリードへの移籍が決まり、2018年の夏からスペインでプレー。4シーズン目の2021-22シーズンはリーグ戦17ゴール、チャンピオンリーグファイナルでの決勝ゴールなどブレイクを果たした。2019年にデビューしたブラジル代表でも、左サイドのアタッカーとしてカタールW杯での活躍が期待されている。

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風間八宏 
かざま・やひろ/1961年10月16日生まれ。静岡県出身。清水市立商業(当時)、筑波大学と進み、ドイツで5シーズンプレーしたのち、帰国後はマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)に入り、Jリーグでは1994年サントリーシリーズの優勝に中心選手として貢献した。引退後は桐蔭横浜大学、筑波大学、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。各チームで技術力にあふれたサッカーを展開する。現在はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務めつつ、全国でサッカー選手指導、サッカーコーチの指導に携わっている。

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