日本代表発表前に欧州組を最終チェック。好調維持は鎌田大地と伊東純也、不調なのは? (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by DeFodi Images via Getty Image

動きに鋭さを欠いた久保建英、堂安律

 守田にはつらい試合になった。後半16分、左足のふくらはぎを故障。詳細は報じられていないが、そのままピッチを後にする姿は、W杯の最終メンバー発表を間近に控えたこの時期、見たくない光景だった。故障の程度が心配される。

 ケガで途中交代した日本代表候補はもうひとりいた。ELオモニア・ニコシア戦に4-4-2のサイドハーフとして先発した久保建英だ。こちらは左肩で、足ではないので守田より楽観的になれるが、深刻なのは肝心のプレーで、ウインガー、アタッカーとしての推進力に欠けた。全体的に動きが不必要にせわしなく、わちゃわちゃした感じで、技巧派に不可欠とされる逆を取る動きに鋭さを欠いた。

 相手ボール時のプレッシングも迫力不足だった。久保は選手としての方向性が見えにくくなっている印象だ。中盤選手なのかウインガーなのか、アタッカーなのか。中盤に下がるならば、チームの中心選手であるダビド・シルバのような逆を取るアクションに、いまの何倍も磨きをかけなければならない。

 同じポジションでプレーしたフライブルクの堂安律もいまひとつだった。ELオリンピアコス戦。なにより元気がなかった。ウイングとして対峙する選手に挑んでいく意気地に欠けた。かわそうという意識が強いのか、縦に勝負を挑まない。見せ場を作ることができぬまま後半18分、ベンチに退いた。

 久保、堂安と一線を画したのがスタッド・ランスの伊東純也だった。比較対象が欧州のカップ戦ではなく、フランスの国内リーグで、しかも第12節の相手は成績の上がらないオセールという点を差し引いても、それぞれの違いについて言及したくなる。レッドカードによる2試合の出場停止処分明けで、休養十分だったこともあるかもしれないが、とにかく伊東は圧倒的に元気だった。

 久保、堂安とは異なり、伊東はボールを受けると8割近い確率で縦を突いた。走力、馬力を活かしながらゴリゴリと前進。パンチ力溢れるシュートでGKを泳がす場面もあった。そして押し詰まった後半42分、1-1の均衡を動かす決勝ゴールをマークした。左ウイング、ミチェル・ファン・ベルゲン(元オランダU‐21代表)のシュート気味のクロスにGKが反応したこぼれ球をプッシュ。決勝点としたのだ。

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