遠藤航、恩師に捧げるゴール。「自分の可能性を見出してくれた監督。クビになる前に1勝したかった」

  • 鈴木智貴●取材・文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by AFLO

 現代のプロサッカー界において、「監督」という職業は常に厳しい視線にさらされている。ファンや識者から称賛されることは少ない一方、負けが続けば即座に"解任"の二文字が掲げられ、あっという間にそのクビはすげ替えられてしまう。

 遠藤航と伊藤洋輝が所属するシュツットガルトも例外ではなく、監督交代というカンフル剤を使用するしか術(すべ)はなかった。

ゴールを決めて感情を爆発させた遠藤航ゴールを決めて感情を爆発させた遠藤航この記事に関連する写真を見る 今シーズンの欧州チャンピオンズリーグに出場している強豪ライプツィヒと開幕節でドロー、第6節にはリーグ10連覇中のバイエルンにもアウェーで引き分けたが、ウニオン・ベルリンに0−1で敗れた第9節終了時点で4敗5分の未勝利。2019年末、当時ブンデスリーガ2部にいたシュツットガルトを救うべく指揮官に就いたペジェグリーノ・マタラッツォは、在任期間1015日でついにその職を追われた。

 後任も決まらず、これまでアシスタントコーチだったミヒャエル・ヴィマーが暫定監督を務めて臨んだ第10節は、同じく下位に沈むボーフムが相手だった。この日は右サイドのシラス・カトンパ・ムブンパが切れ味鋭いドリブルを幾度となく披露。そのシラスが獲得したPKで開始3分に先制点を決めると、22分にはナウイロ・アハマダが追加点を奪う理想的な滑り出しだった。

 キャプテンマークを巻き、アンカーを担った遠藤は、立ち上がりの時間帯についてこう振り返った。

「(試合の)入り方はよかったと思いますね。相手もしっかりボールをつないでくるチームだったので、そこは自分たちも、いけるところはいくし、ブロックを敷きながらうまくカウンターを狙う、みたいなところで。右のシラスのところは常に1対1を仕掛けられて、けっこうスペースもあったんで、彼のよさをうまく使いながら前進してチャンスを作れていたかなと思います」

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る