カタールW杯を前にじつは絶好調のネイマール。風間八宏の注目は「ボールと体を一緒に動かせる身体能力」 (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

相手ありきでプレーする

 これはメッシにも共通することだが、普通の選手ができないような摩訶不思議なプレーを何気なくやってのけるのが、ネイマールの魅力と言える。だからたとえピッチ外のスキャンダルがあろうとも、世界中のみんなが見たい選手なのだろう。

 そんなネイマールを見て、風間氏は改めて感じることがあるという。

「こうしたレベルの選手を見て感じるのは、相手ありきでプレーしていることです。少年時代に相手とどうやって遊ぶかというところから始まって、そのための技術を習得していく。

 要するに、まずは相手を見る力が最初にあって、そのあとにそれを実現させるための技術を身につけていくわけです。そして技術が眼に追いついて両方が一致した時、また違うものが見えるようになる。それを繰り返しながら、選手としてどんどん進化していきます。

 ネイマールはもうベテランの域に入っていると思いますが、現在はメッシやエムバペと一緒にプレーしているので、また高い次元でそのサイクルを継続できているのではないでしょうか。3人が一緒にプレーすれば、さらに彼らのプレーは圧倒的なスピード感になります。だから最近のネイマールは、また一段とプレーの幅が広がっているのだと思います」

 30歳になってますます別次元の世界を突き進むブラジルの至宝、ネイマール。開幕まで2カ月を切った注目のカタールW杯では、カナリア色のユニフォームを着たネイマールが、きっと世界のサッカーファンを魅了するに違いない。

ネイマール
Neymar da Silva Santos Junior/1992年2月5日生まれ。ブラジル・サンパウロ州モジ・ダス・クルーゼス出身。17歳でサントスとプロ契約し、コパ・リベルタドーレス優勝、南米年間最優秀選手獲得など大活躍。21歳の時にバルセロナへ移籍し、数々のタイトル獲得に貢献。2017年にパリ・サンジェルマンに移籍し、今季6シーズン目を迎える。18歳からプレーするブラジル代表では、119試合出場74得点(2022年6月時点)。ブラジル代表最多得点のペレにあと3ゴールと迫っている。

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風間八宏 
かざま・やひろ/1961年10月16日生まれ。静岡県出身。清水市立商業(当時)、筑波大学と進み、ドイツで5シーズンプレーしたのち、帰国後はマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)に入り、Jリーグでは1994年サントリーシリーズの優勝に中心選手として貢献した。引退後は桐蔭横浜大学、筑波大学、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。各チームで技術力にあふれたサッカーを展開する。現在はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務めつつ、全国でサッカー選手指導、サッカーコーチの指導に携わっている。

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