久保建英の相棒の適性とは? ソシエダに新FW加入でも、その役割は変わらない (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

相性がいいのは調和力が高いタイプ

 後半2分にも、久保はダビド・シルバからのパスを受け、素早くブライス・メンデスに叩く。再びダビド・シルバに渡ったところ、ゴール前にタイミングよく入ってリターンを受け、間髪入れずに左足アウトでシュート。GKの好セーブに防がれたが、この瞬間、背後から倒されていた。

「仲間」

 スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』は、そのひと言で選手評を表記しているが、関係性のよさを物語る。

 久保はエルチェの選手を翻弄していた。自らが潰されそうになると、ボールに触らずに味方をフリーに。チームメイトとの関係を分断されたら、個人の突破、仕掛けで苦しめた。この日はジャッジレベルがかなりラフで、背中を押され、足を引っかけられても笛が鳴らなかったが、果敢なシュートも含め、常に危険な存在だった。

 周りを生かすことで、自らも輝く。それが久保の本性だろう。その点で久保の相棒となるFWは、調和力が高いタイプが好まれる。

 その意味でイサクは満点に近いFWだった。久保にはない高さやスピードというダイナミズムを武器にする一方、エゴが少ない。長身を生かしたポストワークだけでなく、サイドにも流れ、流動的な関係を作ることができた。その上で、シーズン2けた得点を見込めたのだ。

 代わりに先発したアリ・チョはセカンドトップと言える選手で、イサクに似た役割はできる。事実、連係は合格点で、スピードを生かしたランニングは味方に活路を与えていた。しかし、ストライカーの気質はなく、得点のポイントに入る動きに粘りがないし、センターバックとの駆け引きで相手を消耗させることもできない。その点、後半から入ったカリカブルは、ターンからのシュートだけでもストライカーの気風を感じさせたが、イサクのような器用さは望めないのだ。

 シーズンの長丁場を考えると、やはり補強が必要になる。アントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード)の復帰など、さまざまな候補が紙面で踊ったが、インテリジェンスがあってチームに溶け込める実務的FWが優先される。

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