プレミアリーグ新シーズンで見逃せないGK&DF5人。英国人記者が好調なチームを支える選手たちを絶賛 (3ページ目)

  • オリバー・ケイ●文 text by Oliver Kay
  • 井川洋一●翻訳 translation by Igawa Yoichi

3連勝のアーセナルを支えるDFたち

DF/ウィリアム・サリバ(アーセナル)

 2019年夏にアーセナルと契約を結びながら、その後の3シーズンはローンでフランスに留まった。今季、満を持して所属元の一員となった若き守備者は、すぐさま最終ラインの中央に収まり、3連勝で首位に立つチームを力強く支えている。

 キリアン・エムバペと同じパリ郊外のボンディ出身の21歳は、全3試合にフル出場し、スピーディかつパワフル、そして知的な守備を披露。また直近のボーンマス戦では、左足で誰も止めようがない軌道のミドルシュートをトップコーナーに収めた。

 彼がセンターバックに入ったことにより(すでにガブリエウ・マガリャンイスと息の合った連携を披露)、昨季のレギュラーのベン・ホワイトは右に回り、負傷で出遅れた冨安健洋はベンチスタートが続いている。

 第2節のレスター戦では不運な形でオウンゴールを献上してしまったが、それ以外はほぼ完璧な出来だ。ミケル・アルテタ監督はサリバのことを「長い目で見ている」と繰り返す。だがもはやれっきとした主軸と言って差し支えない。

DF/オレクサンドル・ジンチェンコ(アーセナル)

 昨季まで所属していたシティでは、オレクサンドル・ジンチェンコは小さな歯車のひとつにすぎなかった。その頃からいい選手には違いなかったが、チームの成功に直接的な影響を及ぼす存在ではなかった。

 中盤とレフトバックを器用にこなす彼がピッチにいなくても、シティの機能性が落ちることはない──そんなふうに見られていた。

 彼がアーセナルに移ったのは、そうした便利屋的な立場から脱却し、毎試合に先発して重要な役割を担いたかったからだ。実際、ここまでの3試合は最終ラインの左のレギュラーとなり、彼の存在はミケル・アルテタ監督の掲げる攻守に現代的なスタイルを推し進める要因のひとつになっている。

 シティ時代にアシスタントコーチとしてジンチェンコを指導した指揮官は、このウクライナ代表の闘争心、汎用性、知性、技術を称え、獲得を強く望んだ張本人だ。そんな監督の期待に応えるように、守備時には冷静な対応で左サイドを封じ、攻撃時にはセントラルMF的にポゼッションを円滑にする。

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