久保建英は「バスク式テスト」に合格したのか。プレシーズンの戦いぶりを総括 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Ricardo Larreina/AFLO

現地メディアは久保のプレシーズンに好意的

 受け身に回るとやや弱さも出たか。簡単にクロスを上げられてしまい、押し返せない。22分、FKからヘッド一発で先制点を浴びたチームの流れを変えられなかった。

 もっとも、プレー強度には怯んでいない。ラウル・ガルシアの危険なタックルを食らったのも、周りが警戒していた証拠だろう。38分には中央でコンビネーションを使いながら、分厚い中央の守備にドリブルで突っ込み、2人、3人と体をつかまれ、タックルを受け、倒されたところで相手の足に頭部を強打されたが、負けん気の強さを見せた。

 ボールを失っても取り返すなど、課題はクリアしたと言える。

 そして後半は、久保が攻撃面でもよさを見せた。前半は右サイドに固定されすぎていたが、中央まで積極的に動くことによって、ビルバオ守備陣を撹乱。それがチーム全体に伝播し、攻撃のリズムがよくなった。右サイドからピンポイントでヘディングに合わせるクロスも放ったし、アシエル・イジャラメンディのスルーパスを引き出し、あと一歩のところでGKと1対1になるところだった(相手DFが猛然と伸ばしてきたタックルに絡めとられた)。

 最後は76分、自陣からのカウンターでボールロストしたところで、明らかに疲労も見えていただけに、交代を命じられた。

 全体を通じ、及第点と言えるプレーだった。右サイドを出発点にしながら、中央でボールを受けた時、より技術の高さが出た。コンビネーションが合わない場面はあったが、プレシーズンを最初から戦ったわけでもなく、そこは大目に見るべきだろう。バスク式の格闘でもプレー精度を下げなかったことは、何より指揮官に好印象を与えたはずだ。

「久保はまだ決定的な仕事はしていないが。ラ・レアル(レアル・ソシエダ)のファンはそのプレーを驚きで受け止めている。期待していたファンは少なかったが、見通しは明るい」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』もプレシーズンを総括し、好意的な評価だ。

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