伊東純也のパーフェクトデビューにファンの期待は高まるばかり。ランスは決定力のあるウインガーを欲していた

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 推定1000万ユーロ(約14億円)の移籍金で、ゲンク(ベルギー)からリーグ・アンのスタッド・ランスに移籍した伊東純也の新天地デビューは、ほぼパーフェクトだった。

 入団発表からわずか3日後の8月1日に行なわれた、本拠地スタッド・オーギュスト・ドローヌにセリエAのサッスオーロを迎えたプレシーズンマッチ。4−3−3の右ウイングで先発した伊東は開始早々、ファーストタッチでFWエル・ビラル・トゥーレに絶好の縦パスを供給。惜しくもこの好機はトゥレのシュートがGKにブロックされたが、前半30分、すかさず本領を発揮する。

 自陣深い位置でMFマーシャル・ムネツィがボール奪取すると、敵陣右サイドに大きくクリア。タッチを割るかに見えたそのボールに追いついた伊東は、そのまま広大なスペースをスピードに乗ったドリブルで前進し、ゴール前に走り込んだフリーのFWミッチェル・ファン・ベルヘンに完璧なクロスを送って、先制ゴールをアシストして見せた。

名刺代わりのアシストでファンの心を早くも掴んだ伊東純也名刺代わりのアシストでファンの心を早くも掴んだ伊東純也この記事に関連する写真を見る まだわずかな時間しかともに過ごせていないチームメイトに対して、自らの特徴を認知させ、地元サポーターに対しては、今年1月に加入したスウェーデン代表MFイェンス・カユステ(FCミッティラン→)と並ぶクラブ史上最高額の移籍金に見合った即戦力であることを証明。名刺代わりのお膳立てとは、まさにこのことだ。

 ところが試合後、前半で退いた伊東が負傷していたことが判明。現地の報道によれば、8月7日の開幕戦(マルセイユ戦)を含めた1〜2試合を欠場すると見られている。

 鮮烈なデビュー戦アシストから一転、思わぬ負傷によって風向きが変わってしまったわけだが、それでも伊東に対する周囲の期待は高まるばかりだ。

 たとえば、フランスの大手スポーツ紙『レキップ』は、リーグ・アンの注目ニューカマー10人のなかに伊東をセレクトし、「177cmという平均的な身長ながら、精力的かつ速さがあるうえ、確かなビジョンと自ら打開するテクニックも持ち合わせている」と評価。1000万ユーロと引き換えにチームを率いるオスカル・ガルシア監督が右サイドの解決策として獲得した、と紹介している。

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