三笘薫に期待されているのは決定力。英国人記者が分析するブライトンでの定位置争いと爆発の可能性 (3ページ目)

  • リチャード・ジョリー●文 text by Richard Jolly
  • 井川洋一●翻訳 translation by Igawa Yoichi

定位置確保は簡単ではない

 三笘は7月17日に行なわれたエストリル・プライア(ポルトガル)との親善試合で、新天地での実戦にデビューし、早速ゴールを決めている。後半開始から左ウイングバックに入ると、65分にこちらも新戦力のフリオ・エンシーソの右からの折り返しをタップイン。

 アシストした18歳のパラグアイ代表のほかに、前線には昨季のチーム得点王の2人であるニール・モペイ(フランス)とレアンドロ・トロサール(ベルギー)、さらにダニー・ウェルベック(イングランド)、アレクシス・マック・アリスター(アルゼンチン)、昨季も三笘とサン=ジロワーズで共にプレーしたデニス・ウンダフ(ドイツ)らがひしめく。そして左ウイングバックでは、昨季のチーム最優秀選手に選ばれたマルク・ククレジャ(スペイン)とトロサールが三笘のライバルとなりそうだ。

 こう見ると、定位置確保は簡単ではない。だが、ククレジャにはビッグクラブへの移籍が噂されており、それが実現すれば、三笘のチャンスは高まるだろう。いや、たとえ最大のライバルが残留したとしても、彼の能力が十全に発揮されれば、きっと居場所はあるはずだ。

 もとよりポッター監督は、ひらめきのあるアタッカーを好み、時に周囲を驚かせるような采配を披露する。加えて、今季からプレミアリーグも5人交代制を導入する予定だ。前線と左ウイングバックをこなす汎用性の高い三笘が、思慮深い指揮官の重要なオプションとなっても不思議ではない。

 日本とベルギーを沸かせてきた好タレントが、上昇の一途を辿るブライトンで、「夢だった」と語るプレミアリーグでの第一歩を踏み出す。日本人ではなくとも、彼を知るフットボールファンは期待に胸を膨らませている。

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