メッシの相変わらずの異次元ぶりを風間八宏が解説。「ボールを運ぶ時と蹴る時が同じかたち」「全部の技術を成功させてしまう」 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

ボールを運ぶ時と蹴る時が同じかたち

「何よりもすごいのは、メッシの場合、キックとシュートが同じなんです。普通は、キックとシュートを別物として捉えて、たとえばキックが得意でもシュートが苦手な選手、あるいはキックの精度や種類がそれほどでなくても、相手のタイミングを外すことが得意など、シュートがうまいという選手がいます。

 しかし、メッシにとってはシュートもキックの種類のひとつで、キックとシュートが同義語になっています。だから、ペナルティーエリア内でも外でも精度が変わらず、抜群の決定力を維持できる。おそらくキック練習もシュート練習も、メッシにとっては同じ練習という感覚なのだと思います。

 しかもメッシは、ボールを運ぶ時の足と蹴る時の足がほぼ同じかたちで、その見分けがつかないから、相手GKはシュートのタイミングも読めない。キックモーションも変わらないので、メッシがどこを狙うのか、どれくらいの強さのシュートを蹴るのかもわかりません。

 走っていてもドリブルしていても、ボールを蹴る時は同じ姿勢を保って、ボールと足の接点も正確。これだけの技術が揃っているからこそ、自由自在にシュートを決められるのだと思いますし、そんな選手はほかにいません」

 風間氏が最上級ランクの選手として称賛するメッシだが、その特徴はドリブルとシュートに限ったわけではない。とりわけ近年は、前線から下がってボールをもらい、メッシ自身が起点となって攻撃を展開するシーンが増えている。パリ・サンジェルマンに移籍した昨シーズンは、キリアン・エムバペやネイマールらを生かすためのパスが冴え渡り、アシストを量産した。

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