田中碧のデュッセルドルフ2年目は輝きが違う。中盤を完全に支配して「すごく楽しくサッカーができている」 (2ページ目)

  • 鈴木智貴●取材・文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by Getty Images

ボランチから攻撃的MFヘ

 迎えた年明け後の昨季後半戦も、目に見える結果は1得点1アシスト。指揮官がクリスティアン・プロイサーからダニエル・ティウネ現監督に交代し、終盤になるにつれ徐々にチーム内での重要性は増してきたものの、ドイツ1年目を振り返れば「失意のシーズン」と総括して差し支えない出来だった。

 しかし、今季の田中は違う----。まだ1試合しか消化していないが、開幕節マクデブルク戦の田中は、そう思わせるには十分な働きだった。

 試合の立ち上がりはボランチの一角としてプレーするも、思うようにプレスをかけられない状況を打破するため、前半20分頃から一列前にポジションを変更。前後半ともに幾度となく相手に激しく体をぶつけてはボールを奪い、攻撃では後半23分のクロスバーをかすめるような豪快なミドルシュートなど、計3本のシュートを放った。

 本人は「自分は(個人としては)結果を残せなかった。3本打ったら1本は決めないといけない」とあくまで謙遜の姿勢を貫いた。だが、攻守にわたるその活躍ぶりは誰の目にも明らかであり、専門誌『キッカー』では攻撃的MFの位置で開幕節のベストイレブンに選出され、また同誌が選ぶこの試合のマンオブザマッチにも輝いている。

 試合を終えた田中はチームの白星発進について、「昇格してきたチームのホームで、難しい相手。昨日も(昇格組のカイザースラウテルンと戦って負けてしまった)ハノーファーの試合を見ていましたし、異様な雰囲気になるのはわかっていたんで。

 そのなかで内容はともかく勝ち点3を取ること、かつ自分が結果を残すことは考えていました。内容が悪くても勝つことが大事だし、そこはすごくよかった」と、一定の満足感を口にした。

 しかしその一方で、「相手が前から来るなかで、ロングボールを蹴って裏を狙うというサッカーをしていて、つないでだったりショートカウンターだったり、何回かチャンスがあったなかで、それを決めきれればもっと楽になったと思います。あとは前半の最初のところでプレスがはまらない時に、どう配置を変えて、(プレスを)はめていくのかっていうのが大事だと思う。

 結果として自分がひとつ前に出て、はまる形が増えたんで、その解決策をより早く出さないといけないし、失点したシーンはツーボランチとツーセンターバックで回されて、(マークを)ずらされて決められた。そこは相手が後半に変えてきた部分で、その変化に応じて自分たちも変化していかないといけない」といったように、反省の弁も忘れなかった。

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