今季プレミアリーグでベストのGK&DFを英国人記者が選定。日本人選手2人の評価も聞いた (2ページ目)

  • リチャード・ジョリー●文 text by Richard Jolly
  • 井川洋一●翻訳 translation by Igawa Yoichi

DFが1試合に3アシスト

DF/アントニオ・リュディガー(チェルシー/ドイツ)

 ロシアのウクライナ侵攻によりロマン・アブラモビッチの資産が凍結され、チェルシーはこの守備の要との契約を更新できなくなった。来季からの新天地はレアル・マドリード(スペイン)が濃厚で、その不在を痛感するようになるはずだ。

 とくにトーマス・トゥヘル監督は自身の就任後、フランク・ランパード前監督から冷遇されていたリュディガーをレギュラーに抜擢し、昨季のチャンピオンズリーグ制覇につなげている。

 パワフルに敵を潰し、スピード勝負も得意で、マイボールの際には自ら持ち運んで数の優位性を生み出す。また37歳のチアゴ・シウバとの相性もよく、リュディガーのスピーディーなカバーにより、このベテランも生かされていた。

DF/フィルジル・ファン・ダイク(リバプール/オランダ)

 昨季に負った重傷により10カ月の離脱を強いられ、今季序盤戦はまだ完全復活とは言えないようなプレーが続いていた。「もう全盛期の姿を取り戻せないのではないか」と見る向きもあったが、ファン・ダイクはそんな声を沈黙させた。

 今年2月、クロップ監督も「ベストの状態に近づきつつある」と太鼓判を押し、実際チームは彼の復調と足並みを合わせるように新年のリーグ戦で無敗を続けている。

 どんな時も冷静で、自信を持って最終ラインを押し上げ、前方への守備にめっぽう強く、後ろを取られても追いつける脚力もある。リーグカップ決勝ではマン・オブ・ザ・マッチに輝き、今季の1冠目の獲得に寄与した。

DF/ジョアン・カンセロ(マンチェスター・シティ)

 ユニークなフットボーラーと呼ばれる選手はいるが、本当の意味でそう評せるのは、カンセロのような独自性を持つプレーヤーだ。

 右利きのフルバックながら、左サイドで起用され、頻繁にセントラルMFの役割をこなす──しかも本職と遜色のないハイレベルな働きだ。シティの攻撃が左サイドに偏る傾向があるのは、彼の存在が大きく、ジョゼップ・グアルディオラ監督もこれ以上ないほどの信頼を置く。

 1試合に3アシストを記録するのは、ハットトリックよりも珍しいものだが、彼はそれを今季のチャンピオンズリーグ(クラブ・ブルージュ戦)で成し遂げている。シーズン終盤戦はやや疲れが見えたものの、こんなにオリジナリティのある選手はなかなかいない。

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