マンチェスター・ユナイテッドの失われた9年。「ポスト・ファーガソン」迷走の責任は誰にある? (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

オランダの名将に託したが...

 結局ファーガソンがいなくなった初年度は、当時選手兼任コーチだったライアン・ギグス(現ウェールズ代表監督)が最後の4試合を暫定的に指揮。リーグ7位でフィニッシュし、CL出場権を逃すという最悪の結末となった。

 翌2014--15シーズンからの2年間は、オランダの名将ルイ・ファン・ハール(現オランダ代表監督)時代だ。

 とりわけ初年度の夏には、FWアンヘル・ディ・マリア(現パリ・サンジェルマン)を筆頭に、DFルーク・ショー、DFマルコス・ロホ(現ボカ・ジュニアーズ)、MFアンデル・エレーラ(現パリ・サンジェルマン)、DFデイリー・ブリント(現アヤックス)、そしてローンでFWラダメル・ファルカオ(現ラージョ・バジェカーノ)といった即戦力を大量補強。総額約1億7600万ポンド(現在のレートで約284億円。以下同)の大金を投資した。

 その一方で、ファーディナンド、DFパトリス・エヴラ(2019年引退)、DFネマニャ・ヴィディッチ(2016年引退)、FWダニー・ウェルベック(現ブライトン)、MF香川真司(現シント・トロイデン)らを放出。ユナイテッドはチーム大改革に乗り出した。

 しかし、短期決戦のブラジルW杯でオランダ代表らしからぬ3バックのカウンタースタイルで3位に導いたファン・ハールのサッカーが、プレミアリーグでそのまま通用するはずもなかった。

 案の定、新生ユナイテッドはスタートダッシュに失敗。布陣を4バックに代えてフェライニを軸とする戦術に転換したことが奏功し、最終的に4位に食い込んでCL出場権を確保したが、期待のディ・マリアやファルカオが不発に終わり、最低限の結果しか残せなかった。

 2年目も、MFバスティアン・シュバインシュタイガー(2019年引退)、MFモルガン・シュナイデルラン(現ニース)、FWメンフィス・デパイ(現バルセロナ)、FWアントニー・マルシャル(現セビージャ)らを総額約1億4000万ポンド(約226億円)の投資で迎え入れるも、金額に見合った活躍を見せることはできず。批判の矢面に立たされたファン・ハールは、5位で終わったそのシーズンを最後に退団した。

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