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ドイツ代表監督を「何、それ?」。現地で話題の浅野拓磨は「一戦一戦、毎日頑張るだけ」と、黙々とW杯メンバー入りを目指す (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFP/AFLO

W杯出場が決まり「ホッとした」
 
 それにしてもホッフェンハイム戦の2ゴールは、今季一番の活躍だった。トーマス・ライス監督はその理由が精神的なものだと分析している。

「普段のタクマなら、代表戦帰りのコンディションはもっと悪いんだけど、今回はとてもよかったんだ。おそらくは日本代表がW杯出場を決めて気が楽になったからだろう」

 だが、浅野自身の感覚は違うようだ。

「自分でも不思議なんですけど、移動の疲れなんかはしっかりとあって、でもそれがピッチには影響しないというの(感覚)が練習からあったんです。だから、ケガをしないかなって、それだけが気になっていた」

 自分が考えているよりも体が動く時に、選手はケガをしやすいのだという。だが、ケガをすることもなく、結果的にこの試合で2得点を挙げた。

「自分の感覚ではやれたんですけど、2点を獲れたのにはいろいろな要因があるのかなと。同じことを続けていたら、そういう日もあるのかな、というくらいだと思います。相手が油断していたのもあるだろうし、普段はあんなに簡単にいかない」

 3月に行なわれたW杯予選のオーストラリア戦では、先発で起用されながら、不発に終わった。だが、個人的な悔しさよりも、予選突破を決めた安堵が勝ったという。

「一番は本当にホッとしたというのがあります。振り返ったら、個人的には何もしていない悔しさを抱えたまま戻ってきたのは事実ですけど。日本がW杯出場の権利をつかむことしか考えていなかったので。周りが何を言うかとか、自分のプレーも(よくないとかも)ありましたけど、まったく気にしてなかったです。突破が決まってうれしかったです」

 あくまで浅野の目標は日本代表がカタールW杯に出場すること、そして自分がW杯のメンバーに選ばれることだ。思い返せば4年前、サポートメンバーに入ってロシアで行なわれた合宿までチームに同行し、初戦を観戦した。その悔しさが出発点となった。だから1試合のパフォーマンスに一喜一憂してなどいられない。

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