フリック監督率いる新生ドイツ。日本がカタールW杯の初戦で避けたかった、これだけの理由 (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

日本代表が注意すべきこと

 チーム最大の武器は、右にセルジュ・ニャブリ(バイエルン)、左にレロイ・サネ(バイエルン)を配置する両ウイングで、彼らふたりのスピードとドリブルテクニックは、対峙するSBにとっては大きな脅威。彼らに効果的なボールを配給するダブルボランチにも、ヨシュア・キミッヒ(バイエルン)、レオン・ゴレツカ(バイエルン)、あるいはギュンドアンといった日本でもお馴染みのタレントが揃っている。

 不安材料をあげるとすれば、時折不安定さを露呈する最終ラインか。CBのレギュラー候補はニクラス・ジューレ(バイエルン)とアントニオ・リュディガー(チェルシー)だが、複数ポジションでプレーできるティロ・ケーラー(パリ・サンジェルマン)の評価も上昇中で、両SBについてはまだ定まっていないのが現状。それもあってか、フリック監督はW杯予選突破後にオプションとして3−4−2−1の構築に着手しており、本番では複数の戦術を使い分ける可能性が高いと見られる。

 ただ、どちらの布陣で戦うにしても、このチームでカギを握るのは、GKマヌエル・ノイアーをはじめ、ジューレ、キミッヒ、ニャブリ、ミュラー、あるいは若手のジャマル・ムシアラといったバイエルンのメンバーになるだろう。フリックが率いたバイエルンの戦術を代表チームでも機能させるには、彼らの存在が極めて重要な意味を持つ。

 そしてもうひとつ、日本にとって注意しなければならないのが、コーナーキックやフリーキックといったセットプレーだ。フリック体制下では、この分野のレベルアップにも取り組んでおり、すでにその成果も出始めている。たとえ引いて守ろうとしても、セットプレーの脅威は拭いきれないと考えて、しっかり準備しておくべきだろう。

 いずれにしても、1−1のドローで終わった親善試合のオランダ戦を除けば、これまで強豪と呼べるチームとの対戦がなかっただけに、現チームの評価を下すのはまだ先のことになるだろう。

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