モドリッチの0トップ作戦に非難集中。レアル監督解任騒動の行方はいかに? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

後任候補はシャビ・アロンソ?

 少なからず戦術的狙いは見えていた。中央を厚めにし、サイドからヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴを中心にカウンターを仕掛け、先制したら守りに入る作戦だった。序盤のチャンスでフェデリコ・バルベルデのカウンターが決まっていたら、局面は変わっていただろう。

 ただ、歴戦の名将にしては軽率だった。ちぐはぐさが目立ち、すぐに打つ手は尽きた。

「戦術的には内部での話し合いが必要だろう。チームは最初から機能しなかった。交代で手を入れたあともね」

 GKのティボー・クルトワはいみじくも語っている。レアル・マドリードは終始、バルサに苦しみ続けた。後半に入っての3バックへの変更も、選手交代も何の役にも立たなかった。むしろ、混乱は増した。

「うまくいかなかったのは私の責任。しかし、これでマドリードが沈むわけではない。落ち着いて戦い続けるべきだ」

 アンチェロッティの言葉は間違っていないし、リーグ戦では2位に勝ち点9差もつけているわけで、論理的には大ごとにすべき敗戦でもないだろう。

 しかし、感情のところで許されない。マドリディスタとしては、「90分間、屈辱を受けた」と肌で感じている。戦いを修正できなかった「指揮官の今後」に不信感を拭えないのだ。

 そこにシャビ・アロンソという格好の"新時代の旗手"がいた。

 シャビ・アロンソは現役時代から独特の風格で、レアル・ソシエダ、リバプール、レアル・マドリード、バイエルン、そしてスペイン代表で、「ピッチの将軍」として数々の栄光をもたらしている。引退後はレアル・マドリードのインファンティル(13-14歳)を指導、レアル・ソシエダBの監督としてはチームを2部に引き上げた。レアル・マドリードやバルサを含めて、他のクラブのBチームはみな3部以下なのだから、その指導力はすでに異彩を放つ。

 選手時代からカリスマ的存在だったが、今も統率力は傑出している。その評判はカスティージャ(レアル・マドリードのBチーム)を率いるラウル・ゴンサレスを上回る。選手の力を引き出す采配を見せ、次世代指導者の格としては、バルサを率いて新たな気運を見せるシャビ・エルナンデスに匹敵する。おまけに、ソシエダとの契約は今年の夏で終わる。

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