「PSG育成センター」出身者が他チームで続々ブレイク。10年連続CL敗退から抜け出すヒントとなるか

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 今シーズンはメッシ、ネイマール、エムバペの「MNMトリオ」を擁して"新・銀河系軍団"を形成したパリ・サンジェルマン(PSG)だったが、チャンピオンズリーグの舞台ではかつて"元祖・銀河系軍団"を形成したレアル・マドリードの前にあえなく敗退。3シーズンぶりにベスト16で涙を呑んだ。

 ほぼ手中にしかけていた準々決勝進出を、最後の30分で手放してしまったその劇的なドラマは、PSG首脳陣に計り知れないショックを与えたに違いない。

現在CL得点ランク5位のエンクンクもPSG下部組織出身だ現在CL得点ランク5位のエンクンクもPSG下部組織出身だこの記事に関連する写真を見る ナセル・アル=ヘライフィ会長が就任して以来、一体これまでどれだけの資金を投資してきたのか。10シーズン連続のチャンピオンズリーグ敗退が決まった今、これからの10年に向けた新たな方向性を考える必要がありそうだ。

 そのひとつのヒントになり得るのが、2019年にフランスサッカー連盟から国内ベストと評価された「PSG育成センター(下部組織)」の有効活用ではないだろうか。

 かつてルイス・フェルナンデスやニコラ・アネルカといった名手を輩出したPSG育成センターは、カタール資本になってからも色褪せていない。むしろ、毎年1000万ユーロ(約13億円)あまりの投資をしてきたことにより、数えきれないほどの優秀なタレントを育て続けてきた。

 しかしながら、今回の対レアル・マドリード戦でピッチに立った育成センター出身選手は、CBプレスネル・キンペンベ(26歳)ただひとり。ほとんどの若き才能は、ワールドクラスがひしめくトップチームでの成功をあきらめ、自らの成長のために他クラブへ旅立っているのだ。

 たとえば、現フランス代表GKマイク・メニャン(26歳)は、2013−14シーズンに初めてリーグ・アンの試合でベンチ入りを果たすも、当時は正GKにイタリア代表サルヴァトーレ・シリグが君臨。結局トップデビューを果たせないまま、20歳となった2015−16シーズンにリールへ移籍した。

 すると2シーズン後には、名将マルセロ・ビエルサの目に止まってリールの正GKの座を射止める。2019年に年間最優秀GKに選出され、昨シーズンはリーグ・アン優勝の立役者となるなど、大きな飛躍を遂げて昨夏にミランへと栄転した。

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