2022.03.02

ロシアとの関係解消に動くドイツサッカー界。会長候補が洩らした「甘い毒」とは?

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by picture alliance/AFLO

 ロシアによるウクライナ侵攻が開始されて1週間がたった。ベラルーシを含めて、周辺国には以前から危うい空気が漂っていたものの、いざ現実の戦闘の映像を見せられると、ショック以外のなにものでもない。欧州中が震撼していると言っていいだろう。

 なかでもドイツは今回の侵攻への関心が非常に高く、直後から各地で反ロシアデモが行なわれている。当初、静かにウクライナ国歌が歌われる小規模なデモは悲しく胸に迫るものがあったが、侵攻が始まって最初の日曜日の27日、首都ベルリンのブランデンブルグ門から戦勝記念塔にかけて行なわれたデモには、10万人以上が参加したと言われている。さらに、続く28日は「バラの月曜日」と呼ばれるお祭りの日で、ケルンやその周辺地域では仮装して練り歩くカーニバルが行なわれる。今年のカーニバル参加者は、仮装しながらもウクライナ支持や反ロシアのプラカードを掲げる人が多く、平和を求める25万人が参加するデモとなった。

 そんな世論とスポーツ界も無関係ではいられない。すでにFIFAやUEFAがクラブ、代表を問わずロシアのチームを参加停止にすると発表しているが、欧州でもロシアとの関係が深いドイツでは、さまざまな動きが出ている。

 なかでもドイツのサッカー界では、板倉滉が所属しているシャルケが、ロシアとつながりの深いことで知られている。ロシアの半国営企業で天然ガスを扱うガスプロムが、2007年から胸スポンサーを務めてきたことはご存知の方も多いはず。シャルケにとっては、 長いつき合いの安定的なスポンサーだったのはもちろん、昨季、ブンデスリーガ1部で最下位となり、31シーズンぶりに2部で戦うことになった際も契約を延長してくれた恩もあった。

 今季のスポンサー料は900万ユーロ(約12億円)と言われており、1部に復帰すればボーナスも設定されていたとされる。だが、シャルケは今回、ガスプロムとの契約解除を発表した。

シャルケでプレーする板倉滉。胸の「ガスプロム」は先週末の試合から消えたシャルケでプレーする板倉滉。胸の「ガスプロム」は先週末の試合から消えた この記事に関連する写真を見る  ビルト紙などのドイツメディアは、この決断がクラブ存続の危機に直結する可能性があるなどと報じているが、クラブは新スポンサー獲得に向けて、「近い将来、新しいパートナーを紹介できると確信している」と、前向きな姿勢を見せている。