ロシアとの関係解消に動くドイツサッカー界。会長候補が洩らした「甘い毒」とは? (2ページ目)
「当時の決断は間違っていなかった」
また、契約解除にさきがけて、クラブはガスプロムから招いた役員マティアス・ヴァルニッヒの辞任を発表している。ヴァルニッヒはロシアの秘密警察KGBの出身とされており、ドイツとロシアを結ぶ天然ガス輸送パイプ会社「ノルトストリーム2」のドイツ側の経営者のひとりでもある。また現在、米国による制裁(ビザの制限と財産没収)を受けている人物でもあった。
このガスプロムとの関係は「甘い毒だった」と表現するのは、契約を結んだ当時、シャルケの財務部長だったペーター・ペータースだ。26日、第2公共放送ZDFの番組にゲスト出演。生放送のスタジオで20分間にわたり、司会者から尋問にも聞こえる厳しいインタビューを受け、弁明、釈明を繰り返した。
ちなみにペータースは、2020年夏までの27年間をシャルケで過ごしたあと、ブンデスリーガ機構の相談役会会長を務め、昨年夏、ドイツサッカー連盟(DFB)会長選出馬を念頭に辞職。現在はその会長選挙のまっただなかで、3月11日の会議で決着がつくことになっている。
インタビューで、ペータースはガスプロムと契約したことについてこう正当化した。
「契約をした2006年は今とは違う時代だった。当時はガスプロムがパートナーとして人気だった。多くのクラブがガスプロムに興味を示し、ガスプロムがシャルケを選んだ。もちろん、私はその決断を当時も今も、支持している。戦争が全てを変えた。でも、当時は(そんな考えが)まだ通用したんです」
するとここで司会者はペータースを追い込んだ。
「ロシアは2008年、すでにグルジア(現ジョージア)に侵攻していた。当時のシャルケには、グルジア代表のレヴァン・コビアシビリも在籍しており、そのことが問題にもなったはずだ」
コビアシビリは2010年にヘルタ・ベルリンに移籍し、2014年に引退。2015年にはジョージアサッカー協会の会長に就任している。この追及に対し、ペータースは曖昧な答えしかできなかった。
「当時の私たちはガスプロム側に立ってしまっていた。今にして思えば時代の流れを正しく認識できていなかったのかもしれない」
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