久保建英の今季ベストゲーム。敗戦でも最高評価、誰も捕捉することができなかった
マジョルカの本拠地ソン・モイスで、久保建英(20歳)のプレーはひと際、目立っていた。
2月26日、バレンシアはホセ・ボルダラス監督の"喧嘩サッカー"で、マジョルカに揺さぶりをかけている。主審の笛がやや甘かったこともあり、反則ギリギリの激しいコンタクトは強まった。彼らの真骨頂の試合となるはずだった。しかし......。
久保は、迫りくるバレンシアの守備をことごとく無力化した。居合抜きの要領で、相手を引きつけて入れ替わる。敵の力を利用した動きだけに、手を出させない。焦った相手のファウルを誘い、イエローカードを誘発し、戦況を有利にした。90分間を通して、小気味いい突破で相手を脅かし、わずかにボールを動かすだけでシュートコースを見つけ、あるいは決定的なパスを通している。
後半6分、左サイドバックで攻め上がったハウメ・コスタに出したラストパスは芸術の域だった。右サイドで相手ディフェンス2人と対峙しながら、ややインサイドにボールを動かし、逆サイドの味方に糸を引くようなパスを通した。最後はコントロールがうまくいかず、シュートは阻まれたが、違いが見えるプレーだった。
バレンシア戦にフル出場した久保建英(マジョルカ)この記事に関連する写真を見る 0-1で敗れたゲームだったが、地元メディアは称賛を送っている。スペイン大手スポーツ紙の『エル・ムンド・デポルティーボ』は、「試合を通じて活動的にプレーし、絶え間なく守備を崩し、チャンスを作り出した」と、久保をマジョルカのベストプレーヤーに選出。同じく『AS』も、久保に三ツ星(0~3の4段階評価)の最高評価を与えている。
若き日本人スターにとって、今シーズン最高の試合だったと言えるだろう。
マジョルカのルイス・ガルシア監督は昨年11月、久保が膝の半月板のケガから復帰するや否や起用している。昨年12月には、敵地アトレティコ・マドリード戦での劇的逆転弾を引き出した。韓国代表イ・ガンイン中心だった攻撃を久保中心に戻している。その信頼は絶大だ。
久保は今や、リーガ・エスパニョーラでも屈指のアタッカーになっている。
1 / 3