欧州サッカー日本人の最新市場価格。今季前半で評価を上げた注目の6人は? (3ページ目)

  • 鈴木達朗●文 text by Suzuki Tatsuro
  • photo by Getty Images

4位:三好康児(ロイヤル・アントワープ)
市場価格280万ユーロ(約3億5840万円)
上昇額80万ユーロ(約1億240万円)

 24歳の三好康児は、2020年夏当時の市場価格に近い120万ユーロで日本の王者川崎フロンターレからロイヤル・アントワープへと移籍した。レンタル移籍だったそのひとつ前のシーズンは、欧州でいかんなく能力を発揮し、成功に満ちた時間を過ごしていた。

 ベルギーで最も古く、歴史あるアントワープは、目下のところ投資家によって大きな資金的な援助を受けている。クラブはベルギー2部から1部に昇格し、最後はベルギー王者に至るサクセスストーリーを思い描いている。

 ベルギーでは、多くのクラブが選手を移籍させることによって多大な収入を得ているが、アントワープにはそういった可能性を持った選手が少ない。そんなチームのなかで、三好は数少ない移籍金による大きな収入を見込める選手のひとりだ。

 三好は優れた能力を備えているが、少し安定感に欠ける。また、ケガがちで調子を掴むのに苦労している。三好がコンディションよくフィットしている状態なら、チームにとって不可欠な創造的なプレーを武器に、ブライアン・プリスケ監督の下でポジションを確保できるだろう。三好なら、欧州でブレークスルーを果たす可能性は高いと見ている。

5位:奥川雅也(ビーレフェルト)
市場価格320万ユーロ(約4億960万円)
上昇額70万ユーロ(約8960万円)

 わずか100万ユーロの移籍金でビーレフェルトにやって来たため、当時250万ユーロだった市場価格もそれに合わせて下降することが予測されていた。ところが、奥川はレンタル移籍の昨季に見せたパフォーマンスを今季も継続しており、それどころか攻撃MFながらゴールゲッターとしても頭角を現した。

 これまでも相手にとって危険なアタッカーだったのだが、今季はそれがゴールという結果につながっている。そのおかげで、シーズン開幕前に一時は沈んだ市場価格も、前期終了後には320万ユーロにまで回復した。

 奥川の目下の目標は、カタールW杯だ。そのためには、現在の好調を維持しなければならない。仮に日本代表としてW杯に出ることも、市場で価値をさらに上昇させる要因だ。さらに、より規模の大きなブンデスリーガクラブの関心を引くのも不可欠だ。とりわけ、現在のようにビーレフェルトが残留できるかどうかわからないような状況では、なおさらである。

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