2022.01.01

中村俊輔が選出する歴代フリーキッカーのベスト5。「絶対にマネができない」という第1位は?

  • 篠幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

中村俊輔 FKインタビュー 後編 
(前編:6位~10位はこちら>>)

日本随一のFKの名手である中村俊輔選手が、これまで見てきた世界中のサッカー選手のなかから、歴代フリーキッカーのトップ10を選出する。今回は5位~1位を発表。各キッカーに対する深い解説にも注目だ。

◆ ◆ ◆

中村俊輔が「ザ・フリーキック」と評するベッカムのキック中村俊輔が「ザ・フリーキック」と評するベッカムのキック この記事に関連する写真を見る 5位:ロベルト・バッジョ(イタリア/元ユベントス、元ブレシアほか)

 バッジョも典型的な10番タイプの選手です。ブレシア時代に対戦した時は、ベテランでキャプテンをやっていて、アンドレア・カラッチョロという長身FWの周りを動くようにプレーしていました。サッカーをものすごく知っていて「これがイタリアのファンタジスタか」と思い知らされた存在でした。

 全盛期と比べれば肉体的な衰えは多少あったと思いますが、一瞬のイマジネーションとキックは衰えていませんでした。引退したシーズンも12得点も決めていて衝撃的でした。

 バッジョのFKを見て「FKはPKと同じようなものだな」と思いました。彼がボールをセットすると、その纏うオーラだけでもう入りそうな感じがする。イタリアのGKは最高峰のレベルですけど、それを手玉に取るように逆を突いたり、「ここだ!」という時に決めてしまうんです。キッカーとしてという以上に、選手としてちょっと次元が違うと感じました。

 当時は今のように、リーグで使うボールが統一されていなくて、各ホームチームでボールが違う時代でした。だからチームによってボールの縫い目も違えば重さも違うし、なんなら大きさも違ったんじゃないかと思います。

 ピッチがぐちゃぐちゃなところも多かったですし、今のようにバニシングスプレーもなかったので、壁はどんどん近寄ってくる。それを「壁を下げろ」とレフェリーにアピールしたら、こっちが遅延行為でイエローカードをもらったり。

 だから笛が鳴ったらすぐに蹴らなきゃいけないし、キッカーにとっては本当に難しい時代だったと思うんですけど、バッジョはそのなかでもバシバシ決めていました。

 ありがたいことにセルティック時代のマンチェスター・ユナイテッド戦で決めたゴールをよく取り上げてもらいます。ただ、僕のなかではあのセリエA時代に、レッジーナで決めたFKのほうが難しかったし、価値があると思っているんです。2002-03シーズン、ホームのローマ戦で、GKが構えている側のファーサイド上に決めたFK。これが個人的には一番好きなゴールです。