五里霧中のレアル、「何もない」バルサ。CLで露呈したスペイン2強の惨状
レアル・マドリードとバルセロナ。欧州サッカーをリードしてきたスペインの2大クラブが、チャンピオンズリーグ(CL)第2節でともに敗れた。
レアル・マドリードが敗れた相手は、シェリフ・ティラスポリ。昨季のモルドバリーグを制したCL初出場チームだ。モルドバ勢がCL本大会に駒を進めたのもこれが初めてとなる。
モルドバのUEFAリーグランキングは現在45位(55リーグ中)。今年、9年ぶりに同ランキング首位の座をプレミアリーグ(イングランド)に奪われたとはいえ、そのスペインリーグの名門が、2万9000人の観客を入れて行なわれたホーム戦で、モルドバリーグの覇者に敗れる姿は、事件以外の何ものでもなかった。前身のチャンピオンズカップ時代を含めたCL史で、レアル・マドリードが敗れたチームの中で、シェリフは最も格下のチームだろう。
一方、バルサの相手はベンフィカ。ロナルド・クーマン監督の解任論が高まる中で迎えたアウェー戦だった。バルサは、カンプノウで行なわれた初戦のバイエルン戦に0-3で完敗を喫していた。ゲームを支配しながら相手のカウンターに沈んだわけではない。両者がまともに組んで戦った末に起きた完敗劇だった。CL初戦にアウェーでインテルと戦い、0-1の勝利を収めていたレアル・マドリードより、バルサの状況は深刻だ。
クーマンはカンプノウに、ベンフィカの監督として訪れたことがある。バルサがCLで通算2度目の優勝を飾った2005-06シーズンの、その準々決勝のことである。選手としては、チャンピオンズカップとして最後となる大会(1991-92シーズン)で決勝ゴールを決め、バルサに欧州一のタイトルを初めてもたらす立役者になったクーマンは、この時、満員の観衆から万雷の拍手を浴びていた。そのクーマンがいま、解任論の渦中に置かれている。隔世の感とはこのことだ。
ベンフィカに次々と得点され、硬い表情のペドリとセルヒオ・ブスケツ(バルセロナ)この記事に関連する写真を見る CL第2節のベンフィカ戦を経て、クーマンを取り巻く状況はいっそう悪化した。結果は0-3。解任論はいっそう高まりを見せるものと思われる。2試合続けて0-3の完敗劇を喫してはそれも当然。バルサとレアル・マドリードは、クラブ史上ワーストと言いたくなる醜態を、このCL第2節でさらけ出すことになった。
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