ルカクもレジェンドもCFに決まったスタイルなし。唯一の共通点は「大量に点をとること」 (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 新シーズン、マンチェスター・ユナイテッドに移籍してきたクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)は、ルカクとは全くタイプは違うが、得点力の高さは折り紙つきである。もともとはウイングだったが、レアル・マドリード時代の終盤からはゴール前を主戦場としていて、ユベントスではCFになっている。

 今でもときおり切れ味鋭いフェイントを見せるが、それよりも鍛え抜いた肉体によるシャープな動き、得点の仕方を知り抜いたポジショニング、正確なシュート、圧巻のジャンプからのヘディングが武器になっている。

 ただ、ルカクやC・ロナウドのほかにもさまざまな点とり屋がいて、CFにこうでなければいけないというルールはない。とにかく点をとれればいいというのが、おそらく唯一のルールである。

<重戦車型と万能型>

 20世紀初頭のイングランドの大スター"ディキシー"・ディーンは、ヘディングの強さで有名だった。1927-28シーズンには、エバートンでシーズン60ゴールという途方もない記録を打ち立てている。

 クロスボールをヘディングシュートというルートは、昔も今も有効だ。至近距離からのダイレクトシュートはGKにとって防ぎにくく、サイドからのボールはDFがボールウォッチャーになりやすい。ズラタン・イブラヒモビッチ(スウェーデン)やエディン・ジェコ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)といった空中戦の王者は、現在も重要な得点源になっている。

 英国にはディーンのような頑健で勇猛なCFが多かったが、他国のCFはそういうタイプばかりではなかった。

 通算得点1329点のアルトゥール・フリーデンライヒは、「虎」と呼ばれたブラジル人だ。通算得点には諸説あって、史上最多はペレという説もあるが、CFとしての最多得点者なのは間違いなさそう。1919年のコパ・アメリカ優勝で国民的ヒーローとなり、"ジョガ・ボニート(美しくプレーしよう)"の先駆とも言えるテクニシャンだったそうだ。

 オーバーヘッドシュートで有名になった、レオニダス・ダ・シルバもブラジル人。1938年フランスW杯の得点王で、「黒いダイヤモンド」のニックネームがあった。この銘柄(ジアマンテ・ネグロ)のチョコレートが爆発的に売れたという。

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