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メッシ、ネイマール、エムパベの3トップが機能せず。CL開幕戦で起きたPSGの昨季と同じ現象

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AFP/AFLO

 2021-22シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)が開幕した。

 第1節で起きた波乱を挙げるならば、クラブ・ブルージュがパリ・サンジェルマン(PSG)と引き分けたA組の一戦と、ヤングボーイズがマンチェスター・ユナイテッドを2-1で下したF組の一戦になる。バルセロナがホームでバイエルンに0-3で敗れた一戦は、妥当な結果という印象だ。

 PSGとマンチェスター・ユナイテッド。今季、リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドというスーパースターを、バルサとユベントスからそれぞれ移籍で獲得したことで、大会前から話題をさらっていたチームだ。その両チームが初戦で、それぞれのグループで最弱と目されていたブルージュ、ヤングボーイズ両チーム相手に躓いた。判官贔屓には歓迎すべき展開になった。

 まず、ブルージュ対PSG。先制したのはPSGで、主役を演じたのはキリアン・エムバペだった。前半15分、左サイドをスピード豊かに駆け上がる。対峙する相手サイドバック(SB)を大きな切り返しフェイントで縦にかわし、マイナスに折り返すと、スペイン人MFアンデル・エレーラがこれを左足できれいに合わせ、ブルージュゴールを揺るがした。PSGがさらに点を重ね、試合は一方的な展開になるかと思われた。

クラブ・ブルージュ戦に先発した(右から)リオネル・メッシ、キリアン・エムパベ、ネイマール(パリ・サンジェルマン)クラブ・ブルージュ戦に先発した(右から)リオネル・メッシ、キリアン・エムパベ、ネイマール(パリ・サンジェルマン)この記事に関連する写真を見る エムバペ、ネイマール、メッシ。以降、PSGに得点が生まれなかった理由は、このスターFW3人のポジショニングと深い関係がある。そしてそれは、十分に想定された現象だった。3FWをエムバペ、ネイマール、アンヘル・ディ・マリアで組んだ昨季から見られた傾向だからだ。

 ネイマールはバルサに入団した当初、トップ下周辺でプレーしたブラジル時代のイメージを捨てきれず、左サイドを任されても、そこにいたたまれず、真ん中にたびたび進出。そのたびにベンチから叱られていた過去がある。だがPSGに移籍し、大将としての地位を確立すると、奔走なプレーが復活。ポジションの定まらない選手になった。

 なぜ、当時のバルサベンチが、左サイドにとどまるようにネイマールに厳しく注意したかといえば、同じく奔放な動きをするメッシがいたからだ。真ん中なのか、左サイドなのか、気分で動くスーパースターの存在と、それは密接に関係していた。

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