無敗優勝から18年。冨安加入の名門アーセナルはなぜこんなに弱くなった? (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 実際、今夏の新戦力を含めた今シーズンの陣容を見ると、明るい未来に向けた好材料は少なくない。サポーターから批判を受けるオーナーのスタン・クロエンケが、今夏は惜しみない資金を投下して積極補強を断行したからだ。

 GKアーロン・ラムズデール(23歳)、CBベン・ホワイト(23歳)、左SBヌーノ・タバレス(21歳)、MFアルベール・サンビ・ロコンガ(21歳)、そして万能型DFの冨安(22歳)といった新戦力を獲得。さらに昨シーズンにローン加入で活躍したMFマルティン・ウーデゴール(22歳)の買い取りも行なうなど、将来の主軸を担えるだけの若き才能に集中投資した。

 彼らに加え、アカデミー出身のFWブカヨ・サカ(20歳)とMFエミール・スミス・ロウ(21歳)という至宝もいる。このふたりが順調に成長すれば、おそらく5年後のアーセナルは優勝候補として復活しているに違いない。

 最大の焦点は、アルテタ監督が開幕3連敗スタートとなった悪い流れを断ち、今シーズンを復活に向けたターニングポイントにできるどうかだ。

 ペップ・グアルディオラ(現マンチェスター・シティ監督)の下で学んだとはいえ、アルテタ監督は監督未経験者としてチームを任された人物。長期政権の担い手として若いチームを育てるには適任と見ることもできるが、逆に経験不足が足かせとなって、チームを空中分解させてしまう可能性も否定できない。

 果たして、アルテタ監督率いるアーセナルは、どちらの道を歩むことになるのか。そして、名門復活の一歩を踏み出そうとしているアーセナルにおいて、冨安はどんな役割を担うのか。

 次のハードルは、現地時間9月26日に予定される第6節トッテナム・ホットスパーとのノースロンドン・ダービー。その前の第5節バーンリー戦も重要ではあるが、ライバル対決でどれだけの成果を手にできるかが、希望の光につながるはずだ。

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