FIFA対プレミアの軋轢に発展も。ブラジル対アルゼンチン戦で何があったのか
カオス――現在の状況を語るのにこれほどふさわしい言葉はないだろう。中止になったW杯南米予選ブラジル対アルゼンチンを巡っての出来事の数々だ。
9月5日、日曜日の午後。ブラジルは大型連休中でもあり、誰もがこの試合を楽しみにしていた。なにしろ行なわれるのはブラジル対アルゼンチン、ネイマール対リオネル・メッシの戦いだ。コロナ禍で行動が制限される中、家でシュラスコでもしながらこの大一番を見ようと思っていた人も多かったに違いない。試合はブラジルだけでなく、世界137カ国に中継されていた。
しかし、キックオフから5分たったところで、ひとりの人物がピッチに入ってきて、突如、試合を中断させた。前代未聞のシーンである。
警官を伴って入ってきたのはブラジルのANVISA(国家衛生監督庁)の係官だった。彼は、アルゼンチンの4選手が入国時に虚偽の申告をし、隔離措置にも応じなかったとして、彼らを拘束するために来たのだと言った。
FIFA対プレミアの軋轢に発展も。ブラジル対アルゼンチン戦で何があったのか ブラジルでは現在、過去14日間にイギリス、インド、南アフリカの3カ国に渡航歴のある者は、外国籍であれば原則入国禁止、ブラジル人の場合は2週間の隔離を義務づけている。クリスティアン・ロメロ、ジオヴァニ・ロ・チェルソ(ともにトッテナム)、エミリアーノ・マルティネス、エミリアーノ・ブエンディア(ともにアストン・ビラ)の4人はプレミアリーグでプレーしており、その前の週には全員ベンチ入りしている。彼らはそれを申告せずに入国したというのだ。
ちなみにブラジル代表は、イングランドのクラブチーム側の要請もあり、アリソン、ファビアーノ、ロベルト・フィルミーノ(リバプール)、エデルソン、ガブリエウ・ジェズス(マンチェスター・シティ)、チアゴ・シウバ(チェルシー)、フレッジ(マンチェスター・ユナイテッド)、ラフィーニャ(リーズ)、リシャルリソン(エバートン)の9人の招集を見合わせている。入国できても2週間の隔離は現実的ではないからだ。
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