セリエA開幕、上位候補7チームを分析。ロナウド、冨安健洋はどうなる?

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

「セブンシスターズ」とは、かつて世界の石油を独占していた7つの石油会社を指す。現在、セリエAの強豪7チームのことをイタリアではそう呼んでいる。毎年上位を占めるのは、多少の入れ替えはあれ、たいていは7つのチームだ。ユベントス、インテル、ミラン、ローマ、ラツィオ、ナポリ。7つ目は多少流動的で、かつてはフィオレンティーナだったが、今は「ベル・ジョーコ(美しきプレー)」の申し子アタランタだ。今週末に始まる新シーズンも、セブンシスターズが中心になるのは間違いないだろう。

 その7チームのうち5チームは、新監督のもとで新シーズンを迎える。

 アンドレア・ピルロのもとで優勝を逃したユベントスには、マッシミリアーノ・アッレグリが戻ってきた。チーム自体はあまり変わってはいないが、2人の選手の加入は注目に値する。まずユーロで大活躍したイタリア代表MFマヌエル・ロカテッリをサッスオーロから獲得。また、サントスからは優れた突破力を誇るブラジル人ストライカーのカイオ・ジョルジがやって来た。

ユベントスで4シーズン目を迎えるクリスティアーノ・ロナウド photo by AFP/AFLOユベントスで4シーズン目を迎えるクリスティアーノ・ロナウド photo by AFP/AFLOこの記事に関連する写真を見る 移籍報道を否定したクリスティアーノ・ロナウドは、あと1シーズンはユベントスに残ることになりそうだが、彼は自らの現在の待遇に満足しているわけではない。そんなロナウドの気持ちこそが、優勝候補ユベントスにとって大きな障害となる可能性もある。

 7チームの中で実力的に一番劣ると思われるラツィオは、経済的に困難な状態にあり、補強につぎ込める資金はほとんどない。インテルに無理やり奪われてしまったシモーネ・インザーギに代わってマウリツィオ・サッリが新監督。だがサッリは、チェルシーやユベントスのように優秀な人材がそろっていてこそ、自分のサッカーを実践できるタイプだ。残念ながら今のラツィオにはそれがあるとは思えない。

 ラツィオのライバル、ローマはベンチにジョゼ・モウリーニョを招くという大サプライズをやってのけた。エースのエディン・ジェコはインテルに行ったが、代わりにチェルシーからダミー・アブラハムを獲得。ユーロで負傷したレオナルド・スピナッツォーラの復帰が待たれるが、守備はポルトガル代表GKルイ・パトリシオとウルグアイ代表SBのマティアス・ビニャの加入で補強された。モウリーニョは彼らをどう使いこなすだろうか。

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