ユーロ準々決勝、最大の注目。イタリアの左サイドをベルギーは止められるか
6月11日(現地時間)に開幕したユーロ2020も、グループステージを経てラウンド16が終了。ベスト8が決定し、いよいよ7月2日からは準々決勝に突入する。
勝ち残ったのは、ベルギー、イタリア、スペイン、イングランドといったビッグトーナメントの常連国と、スイス、ウクライナ、チェコ、デンマークという開幕前は無印だった中堅国。つまり、強豪と中堅の占める割合は「フィフティ・フィフティ」になった。
イタリア代表の10番を背負う左ウイングのインシーニェ 出場枠が16から24に拡大された前回大会の8強の顔触れは、開催国フランス、ポルトガル、ベルギー、ドイツ、イタリア、ポーランド、ウェールズ、アイスランドの8チームだった。常連5チームに対し、大穴は3チーム。ラウンド16でスペインとイングランドが敗れ去ったことが、大方の予想を覆した原因だ。
今大会は、前回以上にその傾向が色濃くなった。ラウンド16ではフランス、ドイツ、ポルトガル、オランダが揃って敗退。ハイレベルな戦いが繰り広げられるユーロでは一発勝負になると勝敗は紙一重で、何が起こるかわからないことがあらためて証明された格好だ。
そのなかでも、スイスと対戦した現世界王者フランスがPK戦の末に敗れたことが最も大きな番狂わせだった。その負け方も、これまで手堅く勝つサッカーを追求してきたはずの現実主義者ディディエ・デシャン監督らしくないものだった。
本職左サイドバックふたり(リュカ・エルナンデス、リュカ・ディニュ)をケガで欠いたことで採用に踏み切った3−4−1−2がまったく機能せず、後半開始から4−4−2に軌道修正してリズムを取り戻したまでは悪くなかった。実際、後半57分と59分にはカリム・ベンゼマの2ゴールで逆転に成功し、75分にはポール・ポグバのスーパーショットでダメ押しとなる3点目を奪うことに成功した。
しかし、指揮官自らが「悔いるのは2点リードしたあとの戦い方」と振り返ったように、ゲームの終わらせ方が"らしく"なかった。仮に2点リードしたあと、慣れない左SBを務めていたMFアドリアン・ラビオに代えてCBにクルト・ズマを起用し、左CBのプレスネル・キンペンベを左SBに配置させたとしたら、少なくともスイスの2ゴール目は生まれなかったかもしれない。
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