南野拓実の現地での本当の評価。監督と地元番記者の考えは正反対だ (2ページ目)

  • トム・プレントキ●文 text by Tom Prentki
  • 井川洋一●翻訳 translation by Igawa Yoichi

 ただし、地元サポーターの意見は割れている。いや、過半数のファンは納得していない。『ザ・トータル・セインツ』というポッドキャストのパネリストで生粋のセインツ(サウサンプトンの愛称)ファン、グレン・デ・ラ・クール氏は、南野について次のように語る。

「全体的には、ポジティブだったとは言えない。そもそも、冬にチームが必要としていたのはサイドバックだったのに、アタッカーを取ってしまった。ただリバプールに引き抜かれたほどの選手だったから、期待していた。

 ニューカッスル戦とチェルシー戦のゴールはどちらも見事で、期待は膨らんだよ。だがその後は存在感が薄れていった。最終節のウェストハム戦のチャンスは決めてほしかったね。ただ、彼の力が最も発揮されるのは、ナンバー10のポジションだと思う。サイドやトップで起用されることが多かったので、力が十全に発揮できなかったのかもしれない」

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 また米メディア『ジ・アスレティック』でサウサンプトンを担当するダン・シェルドン記者も、デ・ラ・クール氏と似た感想を抱いている。

「あの2ゴールを除けば、全体的に南野の印象は薄い。リバプールでも見せていたように、前線からの守備は得意で、それはハーゼンヒュットル監督も好むところだが、今季の後半戦はそのチーム戦術自体がうまく機能していなかった。

 調子を落とし始めたクラブに加入して、新戦力が急に活躍するのは簡単ではないと思う。負けがこむチームで、独力で輝くことなど、なかなかできるものではない」

 シェルドン記者によると、リバプールのユルゲン・クロップ監督は、少なくともプレシーズンの間は南野を手元に置きたいと考えているという。サウサンプトンとリバプールの良好な関係を考えれば、引きつづき交渉できる余地はありそうだ。しかしシェルドン記者は、チームは別のポジションの補強を優先すべきだと言う。

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