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ジョアン・フェリックスが「絶対的なスター」になるための条件は何か? (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 華があるのは間違いない。10代のころから将来のバロンドール候補と期待されていたのもわかる。ただ、本当にそれほどの選手になれるかはまた別の話である。

<スラリとした体格と華のあるプレー>

 ポルトガルでは「ロナウド2世」と呼ばれているが、クリスティアーノ・ロナウドにはあまり似ていない。むしろマヌエル・ルイ・コスタだろうか。あるいは、スラリとした体格と華のあるプレーという点では、ウルグアイのスターだったエンツォ・フランチェスコリに似ているかもしれない。

 フランチェスコリはアルゼンチンのリーベルプレートで大活躍して「エル・プリンチペ」と呼ばれ南米のスターだった。フランスのラシン・パリやマルセイユでプレーし、マルセイユ時代のプレーを見ていたジネディーヌ・ジダン(フランス)のアイドルでもあった。

 ただ、ヨーロッパでは大きな成功を収められていない。フランチェスコリの場合、クラブの選択がよくなかった。ラシン・パリは2部に降格し、マルセイユは強かったが1シーズンだけ。イタリアのカリアリやトリノでは歓迎されたが、タイトルを獲れるようなチームではなかった。その後、リーベルに戻って再び大活躍するのだが、ヨーロッパでのキャリアは才能の無駄使いだったと言える。

 ジョアン・フェリックスのチーム選びは間違っていない。アトレティコはタイトルを狙えるチームである。バロンドールは、メジャータイトルを獲らないかぎり受賞するのは難しいのだ。ただし、タイトルだけでも十分ではない。個人として圧倒的な貢献が必要だ。

<別格の存在になれるか>

 現状でジョアン・フェリックスのプレーには「甘さ」が抜けていない。

 クリエイティブな能力はすばらしい。自らの技術の高さとインスピレーションを信じ、相手の意表を突くのはスーパースターたちのトレードマークだ。「違い」をつくれる選手である。

 しかし、それゆえに不発に終わることもある。成功したら鮮やかだったが、未遂に終わるケースがまだ多い。それが「甘さ」として映る。

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