冨安健洋の移籍先はプレミアの可能性大。出場記録ストップもいい機会だ (3ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

◆前半戦終了の欧州サッカー。市場価格が上昇した日本人選手ベスト5>>

 監督のミハイロビッチも冨安を大いに評価している。

「とにかく真面目なんだ。練習にもいつも情熱をもって臨んでいて、その態度が私は好きだ。DFのすべてのポジションができ、その多様性は彼の価値を大いに高めている。空中戦も強く、スピードもあり、プレーの先を読める。また、左右両方の足を使えることも大きい」

 同時に、これからの課題も指摘する。

「あまりにも優等生すぎる。つまり、ヨーロッパサッカーのマリーシアがまだ身についていない。ここには悪知恵が働き、決してクリーンでないストライカーが数多くいる。トミーはその面ではもう少し"日本人らしい"礼儀正しさ、正直さ、秩序正しさを捨て、"ヨーロッパらしい"狡猾さを身につける必要がある。そうすれば、もっとピッチで違いを見せられるようになるだろう」

 もっとも、冨安の"日本人らしさ"は評価の分かれるところだろう。ファウルの少なさが、多くのチームを惹きつけていることも確かだからだ。

 イタリアではミランとローマ、そしてイングランドの2チームも興味を示している。カルロ・アンチェロッティ率いるエバートンと、トーマス・トゥヘルのチェルシーだ。彼らはすでに昨シーズンの終盤から冨安に目をつけていて、両チームのスカウトは今シーズンも彼のプレーを追っている。

 イギリスのコロナ変異種のパンデミックが、多少両チームの熱を冷ましたかもしれないが、冨安に興味を持っていることは今も変わらないだろう。個人的には、プレミアリーグは冨安にとって理想的だと思う。

 イングランドのサッカーはフィジカル重視でスピードがあり、ヘッドに強い選手をパンのように日々欲しがっている。またプレミアはハードなことで有名だが、基本的にはポライト(品のある)なサッカーをする。ラテンの国々のピッチで繰り広げられる、芝居じみた小細工はあまりしない。長身でスピードがあり、ポジショニングが最大の武器である日本の若者には理想的なリーグではないだろうか。

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