メッシの巨額報酬が暴露された理由。リークしたのはバルサの誰だ? (4ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

「メッシは彼に支払う金額以上の金をチームにもたらしている。メッシに関する収支はきちんと黒になっている」

 カタルーニャの新聞「スポルト」によれば、メッシの報酬、ボーナス、その他もろもろの彼にかかる金額は、バルセロナの支出額の8.2%だ。

 バルセロナの膨大な負債の元凶はメッシではなく前会長のバルトメウだろう。バルトメウは、活躍できない選手と無責任にも多くの契約をかわした。はっきり言って、彼には選手を見る目がなかった。チームに混乱を招く不用意な発言も多く、最近のバルサでは最も経営手腕のない会長だったと言われている。そこにきてこのコロナ禍だ。バルセロナの負債は大きく膨らんだ。

 問題は、この契約書を「エル・ムンド」にリークした人間が、必ずバルセロナにいるということだ。チームも調査委員会を立ち上げたが、スペインの「アス」紙によると、メッシはすでに、5人を訴える用意があるという。5人はメッシの契約書を見られる立場にあり、その中には辞任したバルトメウも含まれている。ただし、本人は報道が出た段階で真っ先に関与を否定している。まだすべては闇の中だ。
 
 メッシは決して金の亡者ではない。2020年初頭、バルセロナではヨーロッパ最大の病院が建設されていた。しかし、途中で資金難となり、バルセロナ財団が1000万ユーロ(約13億円)を出したが、それでもまだ300万ユーロ(約3億9000万円)が足りなかった。その金額をポケットマネーから出したのはメッシだった。

「彼は寄付を決めるのに、1分も考えはしなかった」

 新病院の院長はそう証言している。そうしたメッシの行動がバルセロナを他とは違うチームにしていた。まさにクラブのスローガンである「Mes que un club(クラブ以上の存在)」だろう。
 

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