メッシの巨額報酬が暴露された理由。リークしたのはバルサの誰だ? (2ページ目)
こうして少しずつ決別の日が近づいてきた。2021年の6月を過ぎれば、7億ユーロというとんでもない違約金もなくなり、メッシは好きなチームに行くことができる。メッシの移籍先は誰も知らないが、今、誰も知りようがないと思っていたことが世界中に発信されてしまった。
1月31日付のスペインの日刊紙「エル・ムンド」の一面には、こんな数字が躍っていた。
「555,237,629ユーロ(約706億円)」
2017年に契約したメッシの、2021年6月までの4年間の報酬額である。年計算にすると1億3800万ユーロ(約176億円)。もちろんボーナスや広告収入は別である。
これだけでもショッキングだが「エル・ムンド」の記者は、その数字の下にこんな文句を付け加えた。
「とてつもない額のメッシの契約がバルセロナを破壊する」
バルセロナには現在12億ユーロ(約1560億円の負債があるという。これは少し前にチーム自身が公表した数字だ。このタイトルを見た者は、誰もがバルセロナの膨大な借金の元凶はメッシの高額な報酬であると考えるだろう。
◆メッシ茫然。CL大敗にリーガ勝率5割の屈辱。バルサの伝統はどこへ?>>
それにしてもなぜ「エル・ムンド」は、こんな個人的で、通常は公開されない、そしてなにより危険な情報を報道しようと思ったのだろうか。
それを解くには、まず「エル・ムンド」がマドリードに本社を置く新聞であることを理解する必要がある。マドリードとバルセロナのライバル関係は非常に根深い。それはサッカーだけにとどまらない。政治、経済、観光、文化......すべてにおいて2つの都市の間には争いがある。それはメディアにおいても......。マドリードの人々は、バルセロナにとってマイナスになるようなスキャンダルを好むのだ。
また「エル・ムンド」はスペインの中央政府との繋がりが固い、いわば御用新聞的な存在だ。論調は右寄りで、政府高官の主要な天下り先でもある。そして中央政府は、バルセロナがあるカタルーニャ地方の独立の気運に何年も前から手を焼いている。
「個人的な契約内容を世界中に暴露するなど、メッシのプライバシーが守られていない」と、「エル・ムンド」の報道を批判する人も多い。しかし、新聞社側は涼しい顔でこう反応する。
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