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マラドーナ、狂乱のナポリ時代。「神の子」の転落が秘蔵映像で明らかに (2ページ目)

  • 桜田進ノ介●文 text by Sakurada Shinnosuke

 なぜ制作陣は、これほど貴重な素材を集めることができたのか。サッカー映画に詳しいヨコハマフットボール映画祭実行委員長の福島成人氏が解説する。

「実は、本編で使用されている映像の多くは、マラドーナの最初のエージェントで生涯の友人でもあったホルヘ・シテルスピレール氏の指示を受けて、アルゼンチン人のフアン・ラブール氏、イタリア人のルイジ・ジーノ・マルトゥッチ氏という2人のカメラマンが撮りためた、正真正銘のプライベート映像です。シテルスピレール氏にはゆくゆくは映画にする思惑があったようですが、実際には日の目を見ることなく、合計500時間にも上るフィルムが手つかずのまま眠っていたのです」

 その存在を知ったプロデューサーが、アシフ・カパディア監督に映画制作を持ちかけた。カパディア氏は『アイルトン・セナ〜音速の彼方へ』で2012年英国アカデミー賞(ドキュメンタリー賞・編集賞)、『AMY エイミー』で2016年アカデミー賞(長編ドキュメンタリー賞)を受賞した実績のある監督だ。

 だが、プライベート映像にはカモッラ(マフィア)と親しげに談笑するマラドーナの姿もバッチリ映し出されている。コカイン問題や愛人騒動など、マラドーナにとって不名誉な内容も多いのに、どうやって映像の使用許可や協力を得ることができたのだろうか。

「その点は、カパディア監督がアイルトン・セナの伝記映画を撮っていたことが大きかったようです。マラドーナは、ほぼ同時代に同じ南米出身の英雄としてヨーロッパで活躍したセナの大ファンだったので、それが彼の心を開かせる一因となりました。最終的にカパディア監督が口説いて全面協力を取りつけ、マラドーナ自身がインタビューに応じて過去を赤裸々に語っています」(福島氏)

スキャンダルまみれとなり、ナポリの法廷に出廷するマラドーナ © 2019 Scudetto Pictures Limitedスキャンダルまみれとなり、ナポリの法廷に出廷するマラドーナ © 2019 Scudetto Pictures Limited

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