マラドーナが典型。10代でデビューしてスーパースターになった選手たち
コロナ禍による超過密スケジュールと5人交代制の影響もあり、今シーズンのヨーロッパサッカー界ではティーンエイジャーの活躍が例年以上に目立っている。直近では、わずか16歳と1日という若さでブンデスリーガ史上最年少デビューを飾った、ドルトムントのユスファ・ムココが脚光を浴びたばかりだ。
アルヘンティノス時代、10代の頃のディエゴ・マラドーナ もちろん、今シーズンからブンデスリーガの公式戦出場可能年齢が17歳から16歳に引き下げられたことが、彼の最年少出場記録更新を後押しした。しかし、たとえそうであったとしても、カメルーンの首都ヤウンデ生まれの神童がトップデビューを飾るのは、時間の問題だったと思われる。
高度なテクニック、爆発的スピード、類稀な得点感覚、そして何より16歳とは思えないような高いフィジカル能力を兼ね備えるムココは、すでに規格外のストライカーとしてドルトムントのユースチームでゴールを量産していたからだ。
いずれにせよ、これからムココがトップレベルでどのようなインパクトを残していくのかは興味深いところだ。なぜなら、サッカー界のスーパースターと呼ばれるようになった選手たちは、いずれも10代で鮮烈なデビューを飾って以降、後に語り草となるような実績やエピソードを残しつづけているからだ。
その典型的な例と言えるのが、今年11月25日に他界したディエゴ・アルマンド・マラドーナだろう。
マラドーナがトップデビューを飾ったのは、1976年10月20日。年齢は、15歳と355日という若さだった。所属クラブは彼が8歳からプレーしていた母国アルゼンチンの名門アルヘンティノス・ジュニオールズで、その日に行なわれたアルゼンチンリーグ(1部)のタジェレス戦の後半開始から、背番号16をつけてピッチに登場した。
すると、すでに別次元のテクニックと戦術眼を持った少年は、さっそく屈強な身体の大人に対してナツメグ(股抜き)を見せるなど相手を翻弄。15歳とは思えない成熟したプレーを披露し、あっという間にスタンドの観衆を虜にした。
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