レスターのバーディーが毎年大量得点を決めることができる能力の正体 (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 移籍したレスターも当時はプレミアではなく、チャンピオンシップ(2部)だった。奇跡のプレミア優勝で、サッカー界のシンデレラストーリーとして有名になった苦労人である。

<得点の嗅覚とは>

 稀にこうした埋もれていた才能が開花することが起こるが、だいたいはストライカーだ。得点というわかりやすく価値のある能力がものを言うのだろう。

 プロになったストックスブリッジ・パークでは107試合で66得点を挙げている。ハリファクス・タウンでは37試合27得点、フリートウッド・タウンでも36試合31得点。下部リーグとはいえ驚異的な得点力だ。

 実際、点をとる選手は試合のレベルにあまり関係なく得点する。いくらうまくても点がとれない選手もいる。得点力は、やや特殊な領域と言っていい。

 プロのスカウトに聞くと、FWに必要な才能として例外なく「得点力」を挙げる。それがどういった種類の得点力かは問われない。ヘディングでもミドルでもこぼれ球でもいい。着実に点をとれることが重要だという。

 なぜ得点できるのか、スカウトにもよくわからない選手も少なくなく、ただゴールできるとの事実のみで判定されるというのだ。だが、それならスカウティングする必要はない。記録で判断すればよさそうなものだ。ところが、そうでないから話が少々ややこしくなる。

 得点力があっても評価されない選手はいくらでもいる。バーディーは「背が低い」という理由でシェフィールド・ウェンズデイの下部組織からはじかれた。足が遅い、運動量がない、ポストプレーができない、守備ができない......スカウトたちは「得点力が第一」と口を揃えるのに、得点力以外の能力で判定している場合がけっこう多いのだ。

 ノン・リーグからスタートしたバーディーは、その程度の評価だったわけである。ほとんどの選手はそのままキャリアを終える。だが、ストライカーは得点という結果を残せる。コンスタントに得点しつづけるうちに、「こいつは何だか凄そうだぞ」と評価が変わってくる。よくわからないまま排除した才能が、よくわからないまま再評価される。

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