2020.11.06

ジダンにはレアル向きの資質がある。強い個性をどうまとめているか

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 監督としての実績は抜群だ。

 09年にフロレンティーノ・ペレスがレアル・マドリードの会長に復帰すると、アドバイザーとしてジョゼ・モウリーニョ監督を補佐。その後、スポーツディレクターを経て、カルロ・アンチェロッティ監督のアシスタントを務める。そして14年には、レアルの傘下クラブであるカスティージャの助監督(実質的な監督)でキャリアをスタートさせた。

 16年1月、ラファエル・ベニテス監督の後任としてレアル・マドリードの監督に就くと、このシーズンのチャンピオンズリーグ(CL)で優勝する。翌2016-17シーズンはリーガ・エスパニョーラ優勝、CL連覇。2017-18シーズンにCL3連覇を達成して退任したが、まもなく復帰して2019-20シーズンは2度目のリーガ制覇。指揮を執れば必ず大きなタイトルを獲る。

 3年10カ月で10個のトロフィーは、ミゲル・ムニョス(1960-74年にレアル・マドリード監督)が8年かけた偉業を大幅に短縮した記録だ。昨季はリーガ最優秀監督に贈られるミゲル・ムニョス賞を受賞したが、将来はジネディーヌ・ジダン賞になっているかもしれない。

<レアル・マドリードを率いる資質>

 ジダン以前に、レアルで最も多くのタイトルを獲ったミゲル・ムニョスは、ジダンとよく似ていた。現役時代は中心選手、引退するとすぐに監督に就任して、タイトルを獲りまくった。

 ムニョスのチームにはアルフレッド・ディ・ステファノがいた。当時のスーパースターで、「専制君主」と呼ばれるほど絶対的な存在だ。ディ・ステファノ以外にもスター選手を揃えた陣容は強力だったので、数々の勝利もムニョス監督の偉業というより選手のおかげと見られていた。監督の存在感が薄いのはレアル・マドリードの特徴である。

「監督として自分を押し出しすぎない」のは、レアルの監督として成功するためのポイントと言えそうだ。ムニョス、ビセンテ・デル・ボスケ(1994、96、99-03年に監督)ジダンの共通点でもある。