2020.11.05

堂安律への評価が急上昇。
日本代表での競争も「ウェルカム」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by picture alliance/AFLO

「ドーアン・リツ、デア・ベステ・シュピーラー・イン・ビーレフェルト」

 ヴォルフスブルク対ビーレフェルト戦で堂安律がボールを持った時、アナウンサーのそんな声が聞こえてきた。「(いまドリブルしているのが)ビーレフェルトで最高の選手、堂安律です」と、紹介されたのだ。

 いつから堂安がそんな紹介をされる選手になったのかははっきりしている。10月17日に行なわれたブンデスリーガ第4節のバイエルン戦だ。1?4で敗れたそのバイエルン戦で、ビーレフェルトにとって唯一の得点をあげたのが堂安だった。

開幕戦から6試合連続で先発出場している堂安律(ビーレフェルト) ビーレフェルトは今季、12シーズンぶりに1部に上がってきたクラブ。ホームにバイエルンを迎えるなんて、本来なら1年の中でも、もっともお祭り騒ぎになってしかるべき試合だろう(コロナの影響で無観客だったが)。ブンデスリーガでプレーする日本人選手はよく、「ドイツ人は思った以上にバイエルンをリスペクトしていて、試合になるとビビってしまう」と、見えないヒエラルキーについて話すことがあるが、ビーレフェルトのような昇格組にとっては、まさに畏れ多き相手なのだ。

 そんな相手から1点をもぎ取った新加入選手の評価が急上昇するのは当然だった。『キッカー』誌はバイエルンに敗れた直後の「ビーレフェルトの4つの希望」と題した記事で、希望のひとつに堂安の存在をあげた。「新兵器の登場だ。彼は『もっと見たい』と人々に思わせてくれる」と評している。

 遠藤航(シュツットガルト)、鎌田大地(フランクフルト)、室屋成(ハノーファー)、遠藤渓太(ウニオン・ベルリン)といったドイツでプレーする日本人選手の中で、堂安が群を抜いているのは前所属クラブの知名度と実績だ。

 オランダの名門PSVといえばドイツ人でも誰もが知っている。そればかりか、堂安と入れ替わる形になったが、この夏からドイツ人のロジャー・シュミットが指揮を執るようになり、ドイツ代表マリオ・ゲッツェもプレーしている。ドイツ人にとってはとても興味のある隣国のクラブなのである。PSVから、昇格したばかりのビーレフェルトへの堂安の移籍は、大きな注目を浴びた。