2020.11.04

柴崎岳に必要なのは高級なプレーではない。評価向上に何をすべき?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「高級なプレー」

 スペイン大手スポーツ紙『マルカ』は、柴崎岳(レガネス)の得点シーンをそう表現した。

 リーガ・エスパニョーラ2部、第8節のオビエド戦で、柴崎は鮮やかなゴールを記録している。味方FWマイケル・サントスがドリブルで敵陣へ突入し、ゴールラインからほとんど一か八のボールをマイナスに折り返した時、エリア内に入ってパスを受けたのが柴崎だった。その嗅覚もさることながら、立ち塞がる密集した敵の選手に対し、巧みなコントロールで裏をとって、右足でニアに打ち込んだ。

オビエド戦では今季初ゴールを決めている柴崎岳(レガネス)「Con Toda Calma」

 実況が「まったく落ち着き払って」と感嘆するほどの技術だった。リーガ1部であったとしても、そのビジョンを備えた高いスキルは際立つだろう。

 しかしながら、今シーズンでスペイン挑戦4年目となる柴崎は、「ボランチとしての価値」が試されることになるだろう。

 柴崎の攻撃面での能力の高さは、鹿島アントラーズ時代から世界のトップレベルを相手にしても遜色はなかった。クラブW杯のレアル・マドリード戦は好例だろう。

 とりわけ、エリア付近で前を向いてボールを受けたときの彼は無双に近い。コントロール&キックは抜群で、ビジョンも豊富。最善の選択で、敵に最大の打撃を与えられる。クラシックな10番タイプというのだろうか。FWに近いポジションで、自由にパスしたら破格の才能の持ち主だ。

 もっとも、それだけではボランチ、あるいはセンターハーフとしてはトップクラスで生き残れない。

 柴崎は2017年からテネリフェ、ヘタフェ、デポルティーボ・ラ・コルーニャと3チームを渡り歩いてきた。しかし、1シーズンを通して主力選手として活躍したことはない。1試合を切り取ると、抜きん出たプレーを見せ、インパクトを残している。ヘタフェ時代には、バルサ戦でセンセーショナルなゴールを決めた。攻撃センスの輝きは、日本人MFとして圧倒的と言える。

 一方で、守備面の強度に弱さが見える。たとえば、五分五分のボールの取り合いで劣勢になってしまい、ラインを突破される。また、背後を見ながらコースを切って、侵入した敵を潰すような狡猾さがない。受け身になるチームでは、起用法が難しいだろう。