大暴れ悪童フットボーラー3人。本当にあった蛮行・愚行・乱行の数々 (3ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by AFLO

 その時は主審から警告を受けなかったが、のちにスコットランドFAがビデオで確認し、法廷で争われることに。そしてグラスゴーの裁判所は、ファーガソンに3カ月の実刑を宣告した。

 現在、エバートンでアシスタントコーチを務めているファーガソンは、期待の若手FWドミニク・キャルバート=ルーウィンの成長を手助けしている。昨年11月には地元メディアのインタビューに応じ、44日間の刑期を振り返った。

「あれは本当になんでもない行為で、あんなところ(刑務所)に入れられるようなものではなかった」とファーガソンは話す。悪名高きグラスゴーの監獄では「髭を生やしてタフに見せ」、きつい日々を「ファンからの手紙を頼りに」乗り切ったと語っている。

 プレミアリーグでのレッドカード総数ではファーガソンに1枚劣るものの、元マンチェスター・ユナイテッドのロイ・キーンも、現役時代はかなりの暴れん坊だった。試合中のファウルにより、相手のキャリアを終わらせたことがある。

 2001年4月のマンチェスター・ダービーでの出来事。タフでハードな元アイルランド代表MFは、相手MFアルフ・インゲ・ハーランドのひざに向けて、足裏を高く上げて横から思い切り振り下ろした。

「フットボール史上もっとも悪質なファウルのひとつ」とも言われるひどい行為により、キーンは一発退場となった。だが、本人はまったく意に介さず、ハーランドのもとへ歩み寄って捨て台詞を吐き、ピッチをあとにした。

 ただ、これには伏線があった。

 その4年前の1997年、キーンは当時リーズに所属していたハーランドとともにボールを追い、交錯して負傷。この時は、うずくまったキーンにハーランドが駆け寄り、険しい形相で何かを言葉を吐き捨てていた。その復讐の機会を「長い間、待っていた」と、その後本人が自伝で認めている。

「まだ足がついていてよかった」というほどの痛みを受けたハーランドは、後遺症によりその後90分間プレーする機会は二度となく、2003年に現役を引退した。ちなみにこのハーランド、彼の息子は今をときめくドルトムントのFWアーリング・ブラウト・ハーランドだ。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る