久保建英とかつて脅威のデュオ。アンス・ファティは「薄味」が特徴だ (2ページ目)
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バルサの希望は17歳。アンス・ファティは狭小スペースを平然と打開>>
旧ポルトガル領のギニアビサウで生まれたが、幼年期にスペインに引っ越している。父親のボリ・ファティは下部リーグの選手だったが、セビージャでは運転手として職を得ていた。父親によれば「ファティはセビージャ人」だそうだ。
セビージャの育成チームからバルセロナのラ・マシアに移ったのが10歳、バルサのU-12では1歳上の久保建英とプレーしている。ふたりで130ゴールを叩き出した脅威のデュオだった。
ただ、2014年に未成年者の国際間移籍禁止に違反したとしてFIFAの処分対象となり、久保はバルセロナから日本へ帰国。ファティは出場停止処分の身分のまま残ったが、負傷もあって1年あまりを棒に振った。昨季、16歳でデビューしてセンセーションを起こしたファティの契約解除金は、1億7000万ユーロから4億ユーロ(約500億円)に跳ね上がっている。リーガの将来を担う逸材だ。
<不思議な清涼感漂うプレー>
ファティは右利きの左ウイング、いわゆる逆足ウイングである。
ただ、利き足がどちらかわかりにくい。左足を使ったプレーが多いわけではないが、左足のプレーぶりが妙にスムーズなので逆足感がしないのだ。
ドリブル突破などのシーンを見ると相当スピードがあるはずだが、相手と並走した時に初めて速いのに気づくぐらいスピード感はない。得点能力は図抜けているが、あまりにも簡単そうに決めるので、シュート力が凄いという印象も薄い。
何となく全体的に薄味なのが、ファティの特徴なのかもしれない。
同じ17歳の時、ペレ(ブラジル)はワールドカップで優勝している。決勝でも2ゴールを決めて、優勝の立役者のひとりだった。ファティのプレーから感じる薄味感は、このころのペレと似ている。
右利きの左ウイングということではネイマールがそうで、軽快さはファティとよく似ているが、10代のネイマールはもっとヤンチャそうでギラギラしていた印象がある。
17歳のペレとファティはともに無垢なイメージだ。軽く、柔らかく、殺伐としたプロのフィールドに子どもが迷い込んでしまったように見える。ところが、ボールが来ると大胆なプレーを繰り出して周囲を驚かせる。平気で相手を侮辱するようなテクニックもやるが、そこにまったく悪意がなさそうなのも共通点だ。
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