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バイエルンにあってパリにはないもの。福田正博が感じたクラブ哲学 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO

「メッシ頼み」時代の終焉を見たバルサの大敗はこちら>>

 さて、今回のCLを振り返る時に避けられないのが、バルセロナだ。準々決勝でバイエルンに2-8で大敗。点差も内容もショッキングなものだったが、見方を変えればこの点差がついたのは新型コロナウイルスの影響もある。

 今回は準々決勝から決勝までを、ポルトガルのリスボンで集中開催した。1試合で勝敗をつける一発勝負となったために、リードを許したバルサは得点を奪いに出たところを、逆にショートカウンターを食らって失点を重ねた。

 本来のホーム&アウェーのトータルスコアで争われる方式での戦いだったら、あそこまで失点を重ねなかったはずだ。

 ただ、それでもリオネル・メッシを中心にしたバルサが、限界に来ている状況に変わりはないだろう。ジョゼップ・グアルディオラ監督が築き上げ、メッシやシャビ、イニエスタといった下部組織出身の選手たちが織りなすコンビネーションと高いスキルで構成されたサッカーは、とっくに崩壊していた。

 この数年間のバルサは、巨大な存在となったメッシに依存するサッカーをつづけてきた。だが、CLで大敗し、クラブのレジェンドであるロナルド・クーマンを新監督に招聘して、大改革を打ち出している。

 これによってメッシの去就も不透明になっているが、この混乱した状況はクーマンにとっては自分らしい仕事を推し進めるチャンスとも言える。

 クーマンのこれまでの監督業を振り返ると、規律を重視して理論立てたサッカーを徹底するタイプで、今回のバルサでもそれを徹底していくのではないか。ただ、それが『バルサらしさ』なのかと言えば、懐疑的にならざるを得ない。

 バルサのサッカーがなぜポゼッションを重視するのか。ヨハン・クライフによって基盤が創られ、グアルディオラによって発展してきたバルサの本質を突き詰めるのであれば、個人的には新監督は別の選択肢でもよかったとは思う。

 現在のバルサの問題は、フロント、チーム、サポーターがひとつになっていないことにもある。勝てないからひとつになれないのか、ひとつになれないから勝てないのか。いずれにしろ、クラブとして培ってきた経験を活かせる土壌に戻さない限り、苦しい時期を過ごす可能性は高いだろう。

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