久保建英のクオリティは確実に上がる。見えてきたビジャレアルの陣容 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

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 フェルナンド・ニーニョは、2試合連続でジェラール・モレノと組んでスタメン出場している。2019-20シーズンにトップデビュー。そのアラベス戦では交代出場でいきなり決勝点を入れてヒーローになった。父はマジョルカでスペイン国王杯優勝を飾るなどの活躍をしたディフェンダーだ。

 また、アレックス・バエナはテネリフェ戦で左サイドアタッカーとして先発出場し、精力的な動きを見せると、前半終了間際に見事な先制点を決めている。右からのクロスを確実にコントロールし、右足をひと振り。スペインU-20代表で、そのポテンシャルは高く評価されている。

 そして久保は、カルタヘナ戦は後半から、テネリフェ戦は前半から出場している。カルタヘナ戦は2トップの一角、テネリフェ戦は右サイドに入った。

 サイドで敵と対峙した時の存在感は、マジョルカ時代と同様に際立っている。カルタヘナ戦は終了間際、右サイドを鋭く駆け抜けてクロスを放つ。テネリフェ戦では、1対1からドリブルで持ち込むと、クロスがブロックされてCKに。そのキッカーを早速、任されていた。

 とは言え、見せ場は乏しかった。

「テネリフェ戦でのタケ(久保)は再びグレー(目立たない、地味)な出来だった。カルタヘナとのデビュー戦よりも悪かった」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』の戦評である。現時点で、現地メディアはチームについても久保についても静観といったところか。

 久保が右アタッカーとして起用されるとすると、ライバルはナイジェリア代表のサムエル・チュクウェゼになる。チュクウェゼは左利きのアタッカーで、爆発的なスプリント力を武器とする。ビジャレアルの下部組織育ちで、昨シーズンの主力だけに、アドバンテージはある。

 久保の最大の武器は、抜群の適応力にある。選手とプレーを重ねることで、その良さを理解し、引き出し、同時に自らの力も発揮できる。フィットしてくるのはこれからだ。

 昨シーズンのマジョルカでは、久保が持ち込み、パスを出してもリターンがないという場面がしばしばあった。しかしビジャレアルでは選手の質が高く、クオリティは確実に上がる。コンビネーションが確立した時、久保はさらに進化することになる。

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