2020.08.21

香川真司、10年前のドルトムント移籍。周囲の見る目が変わった瞬間

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshi
  • photo by AFLO

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 今からちょうど10年前の2010年8月21日、2010-11シーズンのブンデスリーガが開幕した。欧州のサッカーシーンで多くの日本人選手が活躍するようになるのも、10代の若者が当たり前のように欧州を目指すことも、すべてはこの日から始まった。

 その夏、2人の若者がドイツに向かった。香川真司と内田篤人だ。

2010年夏にドルトムントに移籍、チームのブンデス2連覇に貢献した香川真司 香川は直前に行なわれた南アフリカW杯メンバー入りを果たせず、サポートメンバーとして南アフリカで自らを追い込んだ。内田は23人のメンバーに入ったものの、直前にスタメン落ち。一度もピッチに立つことはなかった。

 悔しい思いをする2人を奮い立たせたのは、翌シーズンからのそれぞれの新しい挑戦だった。香川はドルトムントへ、内田はシャルケへ。同じノルトラインヴェストファーレン州にあるビッグクラブに入団することが決まっていた。

 8月21日、先にブンデスリーガの開幕戦を迎えたのは内田のシャルケだった。アウェーでのハンブルガーSVとの一戦、内田は59分からジョエル・マティプ(現リバプール)に代わって出場した。

 プレシーズンの感触もよく、「先発もあり得る」と本人は踏んでいたそうだが、フェリックス・マガト監督は新人を先発させることはなかった。30分強での出場で、チームは1-2で敗れた。『キッカー』誌の評価は5点(1が最高、6が最低)にとどまったが、それでも本人は攻撃面での手応えをつかんだ。ベンチにも、使って大丈夫だという印象を与え、続く第2節ハノーファー戦では先発出場を果たしている。

 翌22日。ドルトムントはホームにレバークーゼンを迎えた。今や世界のトップ監督となったユルゲン・クロップ(現リバプール)は、この日がブンデスでのデビューとなる香川を攻撃の中心、トップ下に据えた。そして2014年W杯優勝メンバーであるマリオ・ゲッツェ(今年6月、ドルトムントを退団)を左に、同じくケヴィン・グロスクロイツ(現ユルディンゲン)を右に配した。

 試合開始から10分、香川は最初のチャンスを作りスタジアムを沸かせた。50分にはロングシュートを放つが、これも枠を捉えることはできなかった。