2020.07.18

岡崎慎司への日本とスペインの評価の違い。
「泥臭い」「献身的」ではない

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

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「明日には、日本中のテレビでこの映像が流されるだろう。昇格を決めた試合。オカザキ(岡崎慎司)の記念碑的なスーパーヒールシュートだ!」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』は、Webサイトのニュース記事にその映像を付け、そう見出しを打っている。

 7月17日、リーガエスパニョーラ第41節。ウエスカは本拠地エル・アルコラスにヌマンシアを迎え、岡崎の得点などで3-1と下している。この勝利で、自動昇格圏の2位以内が確定。昨シーズン、1部から降格したが、1年で戻ることが決まった。

 1部昇格を自らのゴールで祝した岡崎慎司(34歳)のスペイン挑戦1年目とは――。

ヌマンシア戦で追加点を決め、昇格を決定づけた岡崎慎司(ウエスカ) 岡崎はウエスカのエースとして、昇格の決め手になっている。36試合出場、12得点。チーム得点王で、数字も文句なしだ。

 昇格を決めたヌマンシア戦のゴールは、その真骨頂だった。

 77分、右サイドに出たパスに走り込んだ味方FWラファ・ミルとの呼吸を合わせる。岡崎自身もゴールへ向かって走りながら、一度ファーに逃げるような動作で敵の裏をとる。そして一瞬で、ニアサイドにスペースを見つけ出す。折り返してきたボールは体の後方に流れたが、体を柔らかく畳み込んで右足のかかとに当て、コースを変えてネットを揺らした。

「Listeza」(利発さ、鋭敏さ)

 岡崎の特徴は、スペインではしばしばそう語られる。ゴールに向かって、明快なプレーができる。サッカーは人とボールが絶え間なく動き、スペースが広がったり、狭くなったりするスポーツだが、その中で正しい選択ができる。味方の癖を見抜き、敵の弱点をついて、空間を正しいタイミングで動くことができる。準備の時点で、ほとんど勝利=ゴールしているのだ。

 しかし、岡崎はエゴイストではない。周りの選手のよさを引き出すことができる。日本では「がむしゃら」「泥臭い」「献身的」と括られるが、スペインの識者の間では、表現は「スマート」「賢い」「美しい」と語られる。その利発さによって、どんなチームでも、どんなチームメイトとも呼吸を合わせられるのだ。