2020.07.18

即効性がすごい。ブルーノ・フェルナンデスがマンUの特効薬である理由

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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第17回 ブルーノ・フェルナンデス

<すぐ効き、よく効いている>

 サッカーに特効薬はなかなかないものだが、たまに劇的な効果をもたらす補強もある。マンチェスター・ユナイテッドのMFブルーノ・フェルナンデス(ポルトガル)は、近年でも最高の大当たりだろう。

今年1月の移籍以降、マンチェスター・ユナイテッドで大活躍のブルーノ・フェルナンデス 即効性がすごい。1月のマーケットでスポルティングから移籍すると、リーグデビューした第25節から、チームは12戦負けなし(第36節終了時点)。新型コロナウイルス感染拡大によるリーグ中断もなんのその。むしろチームは勢いを増している。2月と6月の月間MVPも"連続"受賞した。

 ひとりの選手の加入でチームが変貌する例は、ユナイテッドでも過去にエリック・カントナ(フランス)のケースがあるが、大物の加入は必ずしも即効性があるとはかぎらない。むしろ数カ月を経過しないとフィットしないほうが普通で、ジネディーヌ・ジダン(フランス)やネイマール(ブラジル)でも、それぞれレアル・マドリード、バルセロナで本領を発揮するまでは少し時間がかかっていた。

 補強に即効性を期待できるのは、むしろチームにとって必要なのに欠けていたポジションが埋まった時だ。マンチェスター・シティにエデルソン(ブラジル)が加入した時がそうで、戦術上不可欠だったフィード力とビルドアップに長けた待望のGKだった。リバプールにおけるDFフィルジル・ファン・ダイク(オランダ)も同様のケースといえる。

 ただ、欠けていたピースの穴埋めは即効性こそあるものの、インパクトの面ではそれほどでもない。チーム全体を変貌させたカントナのケースは、ユナイテッドに欠けていたインスピレーションをもたらしただけでなく、彼のキャラクターが本来クラブにあった性格と一致したのが大きかった。自信満々のカントナに引っ張られ、周囲も自信に溢れたプレーをするようになっていた。