南野拓実は「周りに生かされるタイプ」。リバプールと呼吸が合ってきた (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images


 投入後、南野は効果的にボールに絡んだ。1分後にはFWサディオ・マネから縦パスを引き出し、ペナルティエリア内から左足でシュート。枠を外したが、精力的に動き回りながら要所要所で顔を出し、試合の実況でも「シャープな動きで、南野が攻撃にエネルギーを加えている」と褒められていた。

 最大のチャンスは後半22分の場面で、ゴール前のこぼれ球が南野の足もとに入った。ゴールに押し込みたかったが、アーセナルのDFキーラン・ティアニーに身体を入れられ、日本代表MFは体勢を崩した。そのまま倒れていればPKになる可能性もあったが、チャンスをモノにできなかった。

 その2分後には、左SBアンドリュー・ロバートソンからパスを受け、南野はダイレクトでマネに叩いた。国内リーグデビューとなったウォルバーハンプトン戦(1月23日)ではリバプールのプレースピードになかなか入っていけなかったが、アーセナル戦ではチームのリズムに合ってきた印象を残した。この点はプラス材料だ。

 だが試合は、このまま1−2で終了。南野は2本のシュートを打ったが、結果を残すことはできなかった。

 試合後のメディア評価は「まずまず」といったところで、地元紙リバプール・エコーは「投入直後にシュート。リバプール攻撃陣にエネルギーを与えた」として7点。「攻撃をエネルギッシュにした」と評した英衛星放送スカイスポーツは6点、英紙タイムズも6点の及第点をつけた。

 今季も残すところ2試合。南野としてはゴールやアシストなど目に見える結果がほしいところだが、来シーズンに向けてコンビネーションの精度もさらに高めたい。周囲との連係が向上すれば、ゴールやアシストにつながるからだ。

「南野は周りに生かされるタイプの選手」と語るのは、日本代表でチームメイトの吉田麻也。以前、次のように話していた。

「(南野は周りを)生かすタイプというより、(周りに)生かされるほうだと思います。(日本)代表のパフォーマンスも、いつも完全にそうなので。ただ、(リバプールでの)スピードやプレー強度はこれまでのものとはまったく違うものになるので、そのへんは早くアジャスト(適応)しないといけないと思います」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る