久保建英、アトレティコ最強守備陣を翻弄。再開後の進化が止まらない (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 久保は間合いをはかり、仕掛けのテンポを切り替えた。79分、右サイドでロドリと対峙すると、"抜き切らず"にニアサイドへクロス。ピンポイントで合わせたシュートは外れたが、躍動は止まらない。相手の特徴や力量を読み、それを凌駕。90分には縦を切られると、いったん戻して左足でクロスをファーサイドに送り、決定機を作った。

 試合は、3-0と完敗だ。もともと非力なマジョルカは、ストライカーとセンターバックの主力二人がいない状況で、力の差は歴然としていた。交代で出てくる選手に至っては、ふたつほど"階級"が違っていた。

 しかし久保自身は90分間、一瞬たりともあきらめていない。戦術的にソリッドなアトレティコに対し、その技量と集中力は称賛に値する。マジョルカだけでなく、アトレティコのどの選手にも引けを取らないプレーだった。

 久保は荒々しい進化を続ける。厳しい条件の方が、成長スピードが速くなるのか。再開したリーグ戦は、7試合連続で先発出場。週2試合という厳しいコンディションのはずだが、ボールを触るたび、プレーは冴え渡っているのだ。

 次節は7月8日、本拠地ソン・モイスでレバンテとの対戦になる。

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