元ブラジル代表主将を襲う悲劇。
正直で善良なカフーの笑顔が曇った

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 引退後、困難な境遇に陥ったスター選手がブラジルでは少なくない。リバウド、アドリアーノ......ロナウジーニョがパラグアイで偽造パスポートを使い、逮捕されたことも、記憶に新しい。

 ただ、カフーの場合は彼らとは違う。確かに基金の運営方法に問題があったのかもしれない。よく知ることもなく広告塔になるなど、軽率だったかもしれない。しかし、すべて他人のためによかれと思って行動した結果だ。それらがすべて裏目に出て、今、彼を打ちのめしている。

 カフーという人間が正直で善良なことを知っているからこそ、彼が苦しむのを見るのはつらい。

 しかし、カフーはそれでも他人を思いやる心を忘れていない。半月ほど前のある晩、私の携帯にカフーからメッセージが届いた。

「今、街に出て貧しい人に温かい食べ物を配っているところだ」

 寒いサンパウロの夜、私がベッドで寝ている間、彼は新型コロナウイルスの蔓延で大打撃を受けている人たちを思い、奔走していた。

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